日産株が午後急騰、エフィッシモ系のファンドが大株主に浮上
(ブルームバーグ): 日産自動車の株価が12日午後の取引で上昇幅を拡大し、一時前日比21%高の444.6円とブルームバーグの記録に残る1974年以来で最も大きい日中上昇率を記録した。アクティビスト投資家であるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントと関係が深いファンドが同社の大株主に浮上したことが伝わり、連想買いを集めたようだ。
日産が11日に公表した半期報告書で、「サンテラ(ケイマン)リミテッドアズトラスティオブイーシーエムマスターファンド」が大株主のリストに掲載された。9月30日時点で9781万5000株(発行済み株式総数の2.5%)保有していたとしている。
イーシーエムマスターファンドは電気機器メーカーのサンケン電気が2021年3月に公表した同社株の株式公開買い付けで買い手と位置付けられ、同ファンドの運用者はエフィッシモとされていた。エフィッシモの関係者は日産株の2.5%を保有したことは事実だと認めたが、それ以上のコメントは控えた。エフィッシモに電子メールで問い合わせたが、現時点で回答を得られていない。
報告書によると、9月末時点での日産の筆頭株主は約39%を実質的に保有する仏ルノーで同ファンドは名簿上では第5位の株主となっている。前期(24年3月期)の有価証券報告書にはサンテラの名前は大株主リストにはなかった。
日産広報担当の永井志朗氏は、日産は機関投資家や証券会社のアナリストと継続的な対話を行っているほか、世界中のさまざまな投資家向け情報配信の場で会社の取り組みについて積極的にコミュニケーションを図っていると指摘。「日産の可能性を支持し信じてくださる既存の株主および新しい株主の皆さまに感謝する」と述べた。
日産は18年のカルロス・ゴーン元会長の逮捕以降の混乱を脱し、一時は業績を持ち直していた時期もあったがここにきて再び低迷。7日には今期(25年3月期)の営業利益予想を下方修正してその後の2日間で株価は10%以上株価が下落していた。日産は決算と同時に世界で9000人の人員削減なども公表し、再建を進めていく考えだが、アクティビストファンドが大株主に名を連ねることになれば経営陣の戦略への制約も強まることになる。