「小さい頃に遊んだおもちゃ」に再びハマる大人が増えている…その予想外の「功罪」があった
企業とキダルト、両者で起こる好循環
キダルト市場の成長に伴い、今後どのような課題が生じてくると考えられるだろうか。 「新しいコンテンツが広まりにくくなっていくことや、バズることや人気が継続することに対しての難易度が高くなっていくとも考えられますので、それらが商品を展開する企業側の課題となってくるでしょう。ジャンルの多様化が進んだ結果、その時代を代表するような象徴的なキャラクターが生まれにくく、育ちにくいということでもありますね。この状況が続けば、“現代のリバイバルブーム”の流行が、20年後さらに“リバイバルブーム”として再流行することになるかもしれません。 ちなみに私は11月14日に発売されたHD-2Dリメイク版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の話題で40代の友人たちと大いに盛り上がりましたが、エンタメを楽しむ大人は確実に増えていると感じます。そうなると、玩具やゲームのメーカーがより一層キダルト市場に注目するようになり、次々とキダルト需要を狙った商品を発売していくでしょう。それは娯楽を楽しむキダルトにとって喜ばしいことで、これまで以上に購買意欲をそそられて商品を買ってくれればさらに市場規模は拡大しますので、好循環が生まれていくのではないでしょうか。 現在、物価高騰や日本経済の停滞など、なにかとストレスや不安のある社会状況ですが、キダルトの精神を持ち、“大人でも遊んでいいんだ”という価値観が浸透していくことは、現代において大切なことではないでしょうか」 ――シリーズのなかでも人気の高い映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』の世界のように、大人たちの内なる子ども心を呼び覚ます商品や作品が、今後も増えていくかもしれない。 (取材・文=逢ヶ瀬十吾/A4studio)
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