ワクワクするものを日本企業に作ってほしい、デジタル大臣・河野太郎 2年間を振り返る
デジタル庁はスタートアップの参加を歓迎する
「同じことが日本のJ-POPと韓国のK-POPによる成功の違いにも例えられると思います。どちらの国にも才能あるアーティストがいて、成功を勝ち取るためにたゆまぬ努力を重ねています。ところが1億2千万人の大きな国内市場がある日本のJ-POPと、国内市場が小さいが故に最初から世界市場を目指したことから、今では世界から注目するK-POPとの到達点に違いが表れています。日本のスタートアップには世界的な課題を解決して、世界市場を取りに行くという意気込みを持ってほしいですね」 河野大臣はデジタル大臣に就任後、国内のデジタル業界やIT業界の多重・多層構造の独自性にも改善するべき点を見つけたとも語っている。その視線は、デジタル関連のエンジニアリングに強い日本の土台を築くことを見据えている。 「今の日本にはエンジニアの方々が持つ技術が正しく評価され、活きる土壌がまだ整っていないと感じます。例えば、高いプログラミング能力を持つ方がIT関連のベンダーに就職すると、仕事の大半は仕様書を作って下請けに丸投げをすることが業務の中心になり、実際は自身でコードを書く機会がほぼありません。その仕様書を見ながら、下請けの現場では文系の学校を卒業して少しトレーニングを積んだプログラマーがコードを書いているという現状をよく目にしてきました。本来はプログラミング能力に長けた人がコードを書く仕事に就くべきだし、経験が発揮されないことは勿体ないと思います」 ■デジタル庁はスタートアップの参加を歓迎する デジタル庁では調達プロセスの公平性・透明性を高めることにも注力している。中小企業やスタートアップを含む多種多様な事業者が入札に参加しやすい制度をつくり、決定後には調達先のベンダーだけでなく、その下請けや孫請けになる企業の情報もすべて開示する。河野大臣によると、その背景には「中小企業やスタートアップに、デジタル庁のプロダクトを任されている企業であることを対外的にアピールしてもらう」という狙いがあるという。 また入札時点で大企業とスタートアップが競った場合に「スタートアップ加点」を設けて、質の高いプランを提案するスタートアップが競り勝ちやすい仕組みもつくった。 「何をもってスタートアップと呼ぶのか、その定義が明確ではない部分もありますが、中小企業を含めて日本のスタートアップによるビジネスは加速度的に成長しています。デジタル庁の外部調達は全体の3分の1ほどを占める規模感があります。ところが金額ベースでは、まだスタートアップや中小企業の割合が少なく、規模の大きな調達案件に手が付けられていない現状があります」