ワクワクするものを日本企業に作ってほしい、デジタル大臣・河野太郎 2年間を振り返る
エンジニアの技術が正しく評価され、活きる土壌が整っていない
「私は2015年に内閣府特命担当大臣として、徳島県に消費者庁の組織を部分移転する政策も推進しました。当時は省庁が『みんなで1つの場所に移転する』ことが話題になりました。リモートワークのためのさまざまなデジタルツールが揃う現在は、『各自が好きな場所で働く環境』を作る方が適しているのかもしれません」 河野大臣は、被用者保険における診療報酬の審査と支払を実施する社会保険診療報酬支払基金という特別民間法人の事例も引き合いに出しながらリモートワークの有効性について、説明を続けた。 「従来、支払基金ではレセプトという紙の診療報酬明細を大量に集めて、各都道府県で専門の担当者による審査業務を行っていました。レセプトの電子化が進んだ現在は、1つの場所に人が集まる必要はなく、都道府県ごとのオフィスも不要。なおかつ、電子レセプトをまずAIに審査してもらい、AIで審査が完結しない内容を人間が引き継いで審査するという体制も採れます。仕事の品質も大きく改善されました。人による審査のみの場合、都道府県ごとに見られていた審査基準のバラツキがAIなどデジタルツールを活用することで限りなく均質化されたのです」 ■エンジニアの技術が正しく評価され、活きる土壌が整っていない 河野大臣はこれまでにもさまざまな場所で日本のスタートアップの活躍に期待を寄せて、エールを送ってきた。デジタル庁では現在、日本のスタートアップ育成にも力を入れている。 「日本のスタートアップの活躍には私も勇気づけられています。一方で、日本のスタートアップは国内市場を取りに行くことを優先して、最初から世界市場に打って出るというマインドが育たないとも言われています」と河野大臣は語る。「私も兼ねてから感じていたことでしたし、海外のベンチャーキャピタリストの方々にもよく『世界を見るという考え方が日本のスタートアップには必要ではないか』という指摘を受けます」