寿司職人も太鼓判!握る技術を極めたシャリ玉ロボット「S-Cube」のお手並み拝見
シャリ玉にネタをのせるだけの、いわゆる「のっけ寿司」という形での提供に抵抗はないか?という質問が飛ぶと、佐藤大将は「まったくないですね」と断言。 「S-Cubeのシャリが完璧なので、のっけだけでも十分。プロの見せどころとしては、ネタの切り方になりますが、寿司としての美しい姿に持っていくにはシャリとネタの一体感が大事なので、ネタの厚みだったり、食感の違いによって、『S-Cube』のシャリに合わせたネタの切り方を少し工夫する必要はあるかもしれません。
店ではロボットは使いませんが、海外の寿司イベントや、国内でもケータリングやコラボイベントなどの仕事も多くあって、100人規模のイベントだと手で握るのは限界があります。多くの人に食べていただく機会が増える中で、それに対応できる方法はないかと考えていたときに、『S-Cube』の試作品を展示会で見たんです。こんなに小さい機械なのにシャリ玉を作るスピードがめちゃくちゃ速くてこれはすげえ!と(笑)。 海外ではまだロール寿司が主体なので、『S-Cube』が海外で普及すれば、寿司に対してよりチャンスが広がるし、寿司の普及活動という意味でもすごく期待できる一台だと思っています。にぎり寿司は技術が必要で、限りある人にしかできなかったものですが、『S-Cube』により職人でなくても本格的な寿司に提供できる可能性が広がることはうれしいですね」(佐藤大将)
【AJの読み】寿司ロボットメーカーと寿司職人との化学反応で新たな製品が生まれた?
はっこくは予約が取りにくい店としても有名で、数年前に鈴木社長が何度もチャレンジし、ようやく予約が取れて客として店に訪れたのが、鈴茂器工とはっこくの出会いのきっかけになったとのこと。 「お寿司屋さんにとって寿司ロボットで作るメーカーなんて邪道だと思われるに違いないと、どのお寿司屋さんに行っても素性を明かさないようにしていたんです。 はっこくさんでも大将には会社のことは話さなかったのですが、一緒に行った副社長と私の会話を大将が小耳にはさみ、興味持たれたようでしたので、最後に寿司ロボットのメーカーであることをお伝えしたんですよ」(鈴木社長) 「寿司屋をやっていると、どういう業界とか関係性とか大体わかります。でも謎の二人がやって来て、魚や寿司っぽい話しをしている。坊主頭だったら『寿司屋ですか』って聞くんですけど(笑)、この二人はどういう業界だろう、どこを突っ込んだらいいのか、全然わからなくて気になって仕方がなかった。 僕が気にしているのを察して鈴木さんが素性を明かしてくれたんです。シャリ玉やごはん盛り付けのロボットを作っているトップシェアの会社だと知り、他のジャンルの飲食業のことはまったくわからなかった自分にとって、とても面白く興味深いお話をたくさん聞くことができました」(佐藤大将) その後、展示会などを通じて、鈴茂器工と佐藤大将は交流を深めて、「S-Cube」の開発に関しても、職人側から感じる点などを伝えていたという。 使いやすいコンパクト設計で、操作もお手入れも簡単、導入コストも低く抑えられる「S-Cube」は、人材不足が指摘されている飲食業や、寿司を専門としていない飲食・小売店舗の寿司メニュー導入ハードルを低くする小型ロボット。 同社の小型機である海苔巻きロボットやごはん盛り付けロボットと並び、小型シャリ玉ロボットの新エースとして国内外の注目を集めそうだ。 取材・文/阿部純子
@DIME編集部