間違いだらけの断熱住宅。マンションでも効果あり⁉この酷暑を乗り越えるために、環境学教授が教える断熱の基本とは
断熱材のための厚みが取れなければ、アルミシートも有効
また、どうしても断熱材の厚みを確保できない場合は、壁と薄めの断熱材の間に熱を反射するアルミシートなどを入れることで、近い効果を得ることができます。 関東地方の冬であれば室内の温度が15、16度以上を保っていれば、万が一電気やガスなどのライフラインが断たれても、凍えるようなことにはなりません。夏は31度以下でそよ風を涼しく感じられます。 もう1つ大切なのは開口部の断熱。有効なのは2枚のガラスの間に空気の層をもたせた複層ガラスです。 「しっかりとした効果を得るためには、壁・天井・窓の断熱はマスト。1階が駐車場などになったピロティ状の家では床にも断熱材を入れる必要があります」と宿谷さん。そのためには設計段階から断熱を組み込むことが重要です。
いかがでしたか? 宿谷先生の奥さまがおっしゃったように、断熱住宅の心地よさは実際に建物や空間で身をもって体感してみないとその効果を理解することは難しい側面がありますが、これからの家づくりにおけるとても大切なファクターであることはわかったのではないでしょうか。 異常な暑さが襲う近年の夏、エアコンを我慢する生活は決して推奨できません。 しかし、それだけに頼らない方法があることを知り、環境保護の観点からも個々人の住まいの性能を底上げすることは今や必須といえるでしょう。そのための鍵を「断熱」がにぎっています。 Profile 宿谷昌則 しゅくや まさのり/東京都市大学名誉教授。 LEXSdesign研究室 主宰。専門は建築環境学・環境物理学。 著書に『Bio-Climatology for Built Environment, CRC Press, 2019』、『Exergy - theory and applications in the built environments, Springer-Verlag, 2013』など。 早大大学院博士課程修了。1953年東京都生まれ。