救急車1回の出動に、どれだけのお金がかかっているの? また、どのような場合に呼べばよいのでしょうか?
みなさんの中には、救急車1回の出動にどれくらいのお金がかかっているのか気になる、という方もいるかもしれません。そこで今回は、救急車の出動にかかっている費用や運用コストを解説します。 また現在問題となっている救急車の適正利用に関する情報や救急車を呼ぶべき症状など、緊急時の判断基準を提供します。 ▼町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われた! 本当に従う必要はあるの?
救急車の出動コスト
東京都がまとめた「機能するバランスシート」内にある救急事業コストの集計結果によると、救急1回出動あたりのコストは4万5000円と計算されています。救急車の出動は無料で提供されていますが、それを補っているのは税金です。 救急車は「人件費」「資機材使用料」「燃料費」などが必要であり、救急車に乗車する救急隊は原則3名で運行します。出動するたびに3人分の人件費が発生するため、24時間で8時間勤務だと3交代で1台あたり9人の人件費が最低でも必要になります。 また、東京消防庁管内には令和6年4月1日現在274台の救急車がありますが、救急車1台あたりの金額は高規格救急車の場合1台3000万円前後と非常に高額です。単純計算でも82億2000万円が必要となります。 このように、救急車を24時間フル稼働で維持・運用するためには多額のコストがかかることが分かります。
過去最多の出動件数
総務省が発表した「令和5年中の救急出動件数等(速報値)」によると、1年間の救急出動件数は763万7967件、搬送人員は663万9959人でした。救急出動は前年と比べて40万8395件増加、搬送人員は前年比42万2676人増加し、集計開始以来最多です。 令和4年中の救急自動車による現場到着所要時間は、全国平均で約10.3分であり、前年の約9.4分よりも0.9分(54秒)遅れています。同様に医師への引き継ぎまで含めた病院収容所要時間は、全国の平均時間が約47.2分です。前年の約42.8分よりも4.4分遅くなっています。 出動可能な救急車と救急隊員の数には限りがあり、要請されても出払っていれば到着するのに時間がかかってしまうため、数分の遅れが命にかかわる重篤な方への影響が懸念されています。