居座りからの〝居眠り〟疑惑、首相指名選挙の最中…第2次・石破内閣、基盤脆弱な少数与党の緊張感なし 林官房長官も苦しい釈明
それだけに、自身が対象となった首相指名選挙で緊張感を欠いたような姿勢に、永田町では怒りとあきれの声が広がっている。
報道各社の論調も厳しさを増している。
産経新聞は12日の主張(社説)で、「国民の信を得られなかったにもかかわらず石破首相も森山裕幹事長も責任を取って辞任することはなかった。憲政の筋を踏まえない首相続投は残念」と切り捨てた。
読売新聞も同日の社説で、「国民の代表で国権の最高機関である国会の決定は尊重されなければならないが、憲政の常道に反するような無理押しの体制では、国政の混乱が長期化しかねない」と断じている。
■鈴木哲夫氏「今後は厳しい政局」
石破首相の「居眠り」疑惑は速報され、ネット上にも「日本は大丈夫なのか」「舐め切っている」「『だらし内閣』にもほどがある」などと厳しい声が次々と書き込まれた。
こうしたなか、石破首相は第2次内閣発足を受けた11日夜の記者会見で、党の処分が済んでいるにもかかわらず、自ら衆院選の争点にして大惨敗を招いた「政治とカネ」の問題を再び持ち出した。
石破首相は、派閥裏金事件をめぐり、関与が指摘された議員について、「各々が説明責任を果たすため、政倫審(政治倫理審査会)を含め、あらゆる場を積極的に活用するように促す」とブチ上げたのだ。
先の通常国会で、政治資金収支報告書への不記載が指摘された議員のなかで、政倫審での弁明をしなかった議員もいるが、4月の時点で党の処分は終わっている。
ある自民党中堅議員は「自らの政治責任は棚に上げ、得意技のように『政治とカネ』の問題を持ち出すのは見苦しい。石破首相は『アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想』など持論を引っ込め、肝心の政策論争は一歩も進まず、何がやりたいのかさっぱり分からない」と指摘する。
自らへの大逆風を、いわゆる〝裏金議員〟を生贄(いけにえ)に差し出して乗り切ろうとしているようにも見えるが、石破首相の姿勢をどう見るか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「総裁選で自民党は『選挙に勝てる顔』として石破首相を新総裁に選んだ。だが、国会での熟議を行わないまま、早期解散した衆院選で大敗した。内閣支持率や自民党支持率は落ち込み、自民党内でも『石破首相でいいのか』との疑問が急速に広がっている。来年の参院選に向けて1年の猶予もなく、『石破降ろし』の機運が急速に高まってもおかしくはない。自公与党が過半数に満たないのは厳しい現実だ。今後は厳しい政局を迎えるだろう」と指摘した。