今度こそ越境ECを成功させたい! でも失敗もしたくない――そんなEC事業者さんのために、ノーリスクで始める方法をジグザグに聞きました
ですので、「本当に売れるの?」という話でいえば売れます。「売れる確率は高いです」という言い方が正しいかもしれませんが、どんどん売れる状況になっているということですね。
越境ECでまず始めるべきは「SNSの活用」
森野:越境EC市場はどんどん大きくなっていて、今や世界中に売れるようなイメージでしょうか。以前は北米やヨーロッパが中心でしたよね。
鈴木:そうですね。ジグザグでは228の国と地域に対応できます。正確にはDHLやFedExなどの配送可能地域を単純に足し合わせただけですが、実績としては約160か国に出荷しています。
森野:160か国はすごいですね。自分がわかる国の名前だと20ぐらいですから(笑)。160か国にも売れるとなると「始めてみようか」と思う事業者もいるでしょう。実際、何から始めるとうまくいきますか? 思いつくのは海外ユーザーが好きそうな商品を作る、とりあえずWebサイトなどを翻訳する、商工会や産業振興機構などに相談する――ですかね? 鈴木:一番やってはいけないのが「やりすぎてしまうこと」。一発勝負に出てしまうのが最も危ないです。越境ECのビジネスは中・長期戦。いきなりファンが生まれて、いきなりドカッと売れるなんてことはありません。少数のファンで良いので1回だけではなく2回目も買ってもらえるようにする、さらに3回目も買ってもらうことを考えた方が良いですね。 ワケもわからずに「さあ世界だ!」と意気込んで大きなコストをかけてしまうと、売り方がわかってきた頃には資金がなくなってしまうケースがあります。米国の「Amazon.com」や中国の「Tmall」などにいきなり出品するのも同じです。適切なコストの状態で、長く戦える状態を作って始めていくべきです。 ■ 普段からSNSでコミュニケーションを取り、海外の人にも見られている状態を作る 森野:たとえば、「何もしないのに売れた」としたら、「なぜ売れたのだろう」と考えて商品画像を工夫してみたらもう少し売れた。そうしたら、写真や画像、キャッチコピーにお金をかけてみて反応を見るといった感じですね。 鈴木:そういった方法もありますが、私たちがお伝えしているのは「SNSをきちんと活用していますか?」ということです。SNSは本当に便利で、特別な設定不要で海外にもつながっています。日本人は基本的に日本語だけで投稿しているケースが圧倒的ですが、海外向けにハッシュタグなどをつければ海外の人たちが反応しやすくなります。 森野:X、Instagramは日本人同士で使っていると国内限定に感じてしまいますが、SNS自体は世界につながっているので、ハッシュタグなどで海外対応すれば良いだけですね。 鈴木:その通りです。売るためにはまず認知を得なければいけませんが、無理やり認知を上げようとすると失敗の原因になってしまいます。SNSで普段からコミュニケーションをとって、海外の人にも見られている状態を作ることが入口で、かつ最も大事だと感じています。 ジグザグのサービスを導入していきなり売れる人たちは、「なぜか最近SNSから英語や知らない言語で問い合わせが来るんです」ということが多いんですよ。なので、やはり行動が重要ですね。 森野:いきなり売れて驚く事業者もいそうですね。 鈴木:いらっしゃいますね。面白いのは、私たちのサービスの話を聞いた時に「海外の人が反応したら、外国語で問い合わせがきちゃうじゃないですか」と話す担当者などがいること。「いやいや、海外に売りたいんですよね? だったら反応がないとだめですよね?」と説明すると「あ、そうか(笑)」となります。 なので、このあたりの心理的ハードルを取り除いて、世界は意外と近くにあることを意識してほしいですね。 ■ 海外の人たちは積極的。何も反応がなければ商品の見せ方や売る商品のパターンを工夫してみる 森野:日本人は日頃、外国人と関わる機会が少ないので、そうなりがちですよね。 SNSに関しては「こんな写真でこんなハッシュタグを付けて投稿してみたら良いかな?」というところから始める、成功している国内のアカウントの人を真似してみるとかでしょうか。 鈴木:私たちもここを意識していて、「ウェブインバウンド」という言葉を使っています。リアルにインバウンドで日本を訪れるのではなくて、「Web上で日本語のサイトに訪れる」という意味です。 SNSを少しでも運用するとわかるのですが、外国人は日本人よりとてもオープンなんです。臆することなく質問しますし、コメント欄でも問い合わせてきます。たとえば、Facebookであればメッセンジャーで「それはいくらなの?」と質問してきます。 そのくらい積極的な人たちなので、何も反応がなければ、単純に商品が海外の人たちにとってまったく興味のないモノか、見せ方が悪いかという話になります。そこで「ちょっと表現を変えよう」「売る商品をちょっと違うパターンにしていこう」と試行錯誤していければ良いですね。