【腰痛を元から治す簡単セルフケア】腰痛を改善するには、体を動かす、動かさない、どっちが正解?
OurAge世代に、ある日突然やってきたりする「腰痛」。痛いけど、 腰痛を改善するには、体を動かすべきか、動かさないほうがよいのか? 今回は誰もが気になるこの疑問について、脊椎外科専門医の吉原潔さんに、どうしてそうなるのか、どうしたらいいのか、いろいろと教えていただいた。
体を動かさないでいると、筋力や柔軟性の低下を招いてしまう
腰痛があると、体を動かしてよいものかどうか不安になるもの。また、腰をあまり動かさないように気をつけるため、行動を制限しがち。とはいえ、運動不足もよくない気がして、いったい、どっちがいいの?と迷っている人も多いのではないだろうか。そこで吉原先生に伺ってみた。 「もちろん、痛みが強いときは体を動かさないほうがよいですが、1週間以上安静を続けるのはよくありません。というのも、体を動かさないでいると、筋肉がこわばって、筋力や柔軟性の低下を招くからです。 こんな状態になると、瞬間的に腰にかかる負担に耐えられず、洗顔やくしゃみをしたときなど、ちょっとした動作でぎっくり腰になってしまうことがあります。実際、ぎっくり腰は、安静にしているより、できるだけ通常の生活を送るほうが回復が早いというデータもあります。 ですから、ぎっくり腰に限らず少し痛みがあっても、用心して過度に安静にはせず、無理のない範囲で体を動かすほうがよいといえます。ただし、急に激しい運動をしたり動きすぎたりすると、再発を招くことがあるので、現状でできることを判断して、ゆっくりと体を慣らしながら動かしていくのがポイントです」 また、現在腰痛がない人でも、40代以降は腰痛のリスクが上がるので、運動を習慣にしておくとよいといえる。 「40代になると、筋肉量や骨量が減少していき、腰痛のリスクが格段に上がります。この加齢によるハンデをなるべく小さくするためにも、早めに運動習慣を取り入れることをおすすめします」
腰痛を改善するためには、どんな運動をするといいの?
では、具体的にはどんな運動がよいのだろうか。 「腰痛に影響を及ぼす筋肉というと、腹筋や背筋だけかと思うかもしれませんが、それだけではありません。腰は体の要で、多くの筋肉と連動し、バランスを保ちながら互いの機能を支え合っています。 例えば、ふくらはぎの筋肉は、筋膜で腰とつながっているので、ここが緊張すると腰痛を引き起こすことがあります。 また、太もも裏の筋肉のハムストリングスが硬いと、骨盤の動きが悪くなって腰に余計な負担がかかることに。ハムストリングスがガチガチの人は、腰痛がある可能性が高いです。ですから腰痛を改善するには、ストレッチで腰まわりだけでなく、これらの筋肉をほぐすことが大切です」 また、もうひとつ大事なのは、体幹の筋肉の強化なのだそう。 「体幹とは、腕と脚を除く、首から下の胴体部分のことで、体を支える幹となる部分です。体幹の筋肉が落ちると、上半身を支える力が低下し、よい姿勢を保てなくなって猫背や前かがみになるので、腰痛のリスクが高まります。 ですから、体幹を鍛えることも腰痛改善の大事なポイントです。 体幹を構成するのはお腹の腹直筋や深部の腹横筋、脇腹の内・外腹斜筋、背中の脊柱起立筋や広背筋、深部の多裂筋、腰方形筋などの筋肉。これらを鍛えるトレーニングを取り入れるのが理想的です」