サッカーを楽しむための公立中という選択肢。部活動はJ下部、街クラブに入れなかった子が行く場所なのか?<RS of the Year 2024>
サッカーが好きだけど試合に出られない。でも…
忘れてはならないのが、生涯スポーツという視点だ。もっとも門戸が広く、中学校からサッカーを始めるにしても最適な環境で、小学校の時に僅かな期間だけクラブでプレーしていた選手や技術的に自信がない子でもサッカーに興じる環境が部活動にはある。 「ジュニアでやっていた子と中学校から始めた子で大きな差はある。もともと運動が得意な子であれば中学から始めても練習についていける。でも、運動が苦手でサッカーをやってみたい子もいます。そこの難しさは確かにあるけど、サッカーの楽しさを味わってほしい。サッカーはチームスポーツ。みんなで頑張るとか、自分がうまくいかなくても、試合に出られなくても助けてあげる。 社会に出てからもそうだと思うんですけど、自分の立ち位置があって、その中で頑張って自分の居場所や役割を発見していく。それが人間性につながっていく。うまい選手からすれば不満もあるかもしれないけど、個人にできることには限界がある。じゃあ、みんなでうまくなろう、レベルアップしよう。そのためにだったらうまい子がみんなに教えてあげようと。そういうのも部活動のよさの一つだと思うんです」 サッカーが好きだけど試合に出られない。でも、実際に試合を見たら「自分も試合に出たいから、そのために頑張る」という意思を示してくれる選手もいたという。 「モチベーションが上がってくる。そのために、自分は何ができるのかを聞いて、そしたら彼はいっぱいボールを触りますと答えてくれた。そういうのも一つの楽しみなので、まずはサッカーを好きになってくれるといいですよね」 もちろん、レベルの差があれば、練習メニューを組むことも大変だ。だが、そこは工夫で変えられる部分だと小野寺監督は話す。 「練習メニューが一緒でも要求するレベルを変えてあげるんです。メニューは誰もが同じ。でも、レベルが高い子はハードルを変えてあげて、習得させるスキルも変えるんです」