Monoblocが語るNY新人バンド結成秘話、ジョイ・ディヴィジョンやガンダムからの影響
ギターバンドとインターネットの文化を繋ぐ
―モノブロックのPRになったつもりで、今日参加していない他の三人のメンバーの音楽的魅力やパーソナリティについてプレゼンしてもらえませんか? ティモシー:面白い質問だね。ザックは、縁の下の力持ちって感じ。彼はライブセット全体をコントロールしてる。何でも屋で色々出来るんだよ。それから、彼はいつも集合時間を守るよね。「ドラマー」と「時間通りに来る人」っていうのは世界で見つけるのが本当に難しい2つだけど、彼はそれを兼ね備えてる。 マイケル:ミュージシャンって時間にルーズな人が多いからね。でも、彼はしっかりしてる。それに、すごく明晰だし冷静でもある。 ティモシー:ニーナに関しては、彼女は本当にクリエイティブで、今まで見たことがない感じ。あとコンセプトを音楽へと昇華させることがとても上手いよね。僕たちが作り出そうとしている世界を、音を使って頭脳的に、そして幽玄なアイディアとして提示することができるのがニーナ。僕たちの趣味は、共通しているものが多いと思う。バーチャルの世界だったり、本だったりね。お互いに語彙が豊富で、それは僕たちの強みなんだ。そしてベン。彼は仕事人間。完璧主義者でもあるんだけど、彼自身もそれで狂わされることがある(笑)。彼は常に歩き続けている感じで、時に不機嫌なおじいちゃんみたいになる時もあるんだ(笑)。 マイケル:ティムが言った通りで、僕が知る限り、彼は誰よりも仕事に対する強い倫理観を持っている。バンドをやっていくにはそれがある程度必要でもあって、ベンにはそれがあるんだ。彼は休むことがない。骨になるまでずっとずっと働き続けると思う。容赦がないんだよ(笑)。 ―その5人が集まったとき、どんな音楽を一緒に作って演奏したいと思いましたか? ティモシー:その質問に関しては、明確な答えがない。まだ自分たちでもそれを模索してる段階だからね。ひとつ言えるのは、このバンドには2つの柱があること。全員で曲を書くことと、僕たちがギターバンドであるということ。でも同時に、僕たちはネット文化にも足を踏み入れている。そして、ギターバンドとネット文化というのは二つの異なる世界であって、普段はあまり混ざり合うことがない。ギターはもっと地に足がついたもののように感じられるし、インターネット・カルチャーに傾倒している人たちは、普段はもっとエレクトロニック系のものを探究しているから。でも僕たちは、そのふたつを融合したサウンドを見つけようとしているんだ。時代を超えたサウンドでありながら、ネットの世界でも生きていけるような、そんなサウンド。グレン・キャンベルの「Wichita Lineman」がベリアルの視点で書かれたらどうなるだろう、みたいにね。ベリアルはUKガラージ(ダブステップ)のアーティストで『メタルギア ソリッド』のサンプルを使ったことがあるんだけど、あれを子供の頃聴いた時には度肝を抜かれた。そういう色々なものから得たアイディアを取り入れて、時代を超越した、そして自分たちに正直なサウンドを作りたい。マイケルはどう思う? マイケル:その通りだと思うよ。僕たちは、今生きている自分、そして現実を音にしようとしてる。ニューヨークにインスパイアされるのは簡単だと思う。でも僕たちはそれだけにとどまりたくはないんだ。僕たちはニューヨークを拠点にしたバンドではあるけど、オンラインで色々な経験をしてる。生で音楽を聴くのと同じくらい、インターネットでも様々な音楽経験を楽しんでるんだ。そうやって、自分自身の音楽というものが出来上がっていくんだよね。僕たちはユニークなサウンドを見つけようとしているけど、そのリアルとバーチャルの経験の交差が個性を生み出しているんだと思う。 ―新曲「Take Me」が12月9日にリリースされるそうですね。どんな曲を作りたかったのか、制作の背景について聞かせてください。 ティモシー:ほとんどイントロダクションのような曲として作られた。短くて、クライマックスに差し掛かったところでいきなり終わってしまうような曲。でも、だからこそ楽しいんだ。まるでこの先に何かが待っているようなサウンドだからね。僕たちは、この曲が最初にリリースされるとばかり思っていたんだよ(笑)。 マイケル:僕はいつも、この曲はオーケストラだと思ってる。普通のバンドと同じ楽器を使っているけど、アレンジで低音のチェロやアップライト・ベースのような低音の演奏があるように感じられるし、一つのギターコードしかないのに、まるでヴァイオリンが入ってきたかのようなレイヤーが感じられるよね。バンドよりもよりスケールが大きく感じられるようにアレンジされているから。 ティモシー:動いているピースがたくさんあって、その一つひとつの動きは小さなものなんだけど、組み合わさることであの質感と人工的な複雑さが生まれるよね。 マイケル:それぞれのパートができるだけシンプルであることは意識したよ。誰でも演奏できるくらいシンプルにしたい、というのはいつも僕の頭の中にあることだから。大切なのは、シンプルでありながらもそのパートの一つひとつが曲の中で目的を果たしていること。たくさんある要素の全てに意味があり、その一つひとつは不自然に複雑な必要も、派手である必要もないんだ。総じて本当にシンプルな作りなんだけど、その全てがうまく合わさることであのビッグなサウンドを作り出しているってこと。