Monoblocが語るNY新人バンド結成秘話、ジョイ・ディヴィジョンやガンダムからの影響
2025年の年始、幕張メッセ国際展示場で初開催となるrockin’on sonic。その2日目となる1月5日に出演が決まっている新人バンドが、モノブロック(Monobloc)だ。 【画像を見る】史上最高のギタリスト250選 ジョイ・ディヴィジョンとザ・ストロークスが出会ったようなポストパンクで、鋭いギターリフやテクスチャに非凡な才能を感じる五人組は、現在NYを拠点に活動中。中心人物となるティモシー・ウォルドロン(Vo)とマイケル・シルバーグレイド(Ba)が組んでいた前身バンド・Courier Clubは2018年~2021年あたりに活動していたインディロックバンドで、当時から知る人ぞ知る才能を放っていたようだ。その後ベン・スコフィールド(Gt)、ニーナ・リューダース(Gt)、ザック・ポックローズ(Dr)が加わったことで2023年に活動のスタートを切ったモノブロックは、1stシングル「I’m Just Trying to Love You」に海外のエージェントがすぐさま反応、じわじわと才能を知らしめている実力派。静かに渦巻くエネルギーを感じる彼らの音楽がどうやって生まれているのか、ティモシー・ウォルドロンとマイケル・シルバーグレイドに話を訊いた。
モノブロック結成秘話、ニューヨークを拠点にする理由
―お二人は前身バンドであるCourier Clubの時代から一緒に活動されてますね。そのあと、なぜモノブロックを始めたのでしょうか。 ティモシー:Courier Clubは自然になくなっていったんだ。パンデミックの間、二人のバンドメンバーが他のことに興味を持ちはじめてね。それでバンドを辞めることになった。で、そのあとどうしたらいいか全然わからなかったんだけど、LAの友達が「最後にレコードを一枚作ろう」って僕らをLAに呼んでくれて、その時作ったものがプロジェクト全体の中でも際立つものになった。それが今のバンドに発展していったんだよ。自然の流れだった。前のメンバーとはいまだに週2、3回話すくらい仲が良いよ。 ―Courier Club時代はフィラデルフィアを拠点にしていたそうですが、今ニューヨークに活動拠点を移した理由は? マイケル:Courier Club時代にニューヨークを何度か訪れてショーをやったんだけど、その時にたくさんコネクションができたんだよ。それに、フィラデルフィアよりも音楽文化がだいぶ盛んだからね。十分な音楽経験も積んできたし、ニューヨークは僕たちが望むレベルの音楽をやることに僕らを導いてくれるんじゃないかと思った。 ―その後ニューヨークで活動を始めて以降、どのような刺激を受けていますか? ティモシー:ニューヨークは全ての中心って感じがする。あらゆるリソースに囲まれているのは本当にありがたいよ。とにかく飛び込んで、その中にあるものをフル活用しないと。そうすることで、モチベーションが保てるね。 マイケル:ニューヨークはある意味すごくチャレンジングでもある。しかも若手は特に大変。もっと生活費の安い街はあるんだろうけど、ニューヨークは高くて、他の生活のことは考えず目標にだけ集中せざるを得ないからね。その状況が、常に自分をアクティブにしてくれるんだと思う。 ティモシー:物価は本当に高い。一日中仕事をしないといけないし、だから夜はずっと音楽の制作作業をしなければいけない。フルタイムの仕事を2つ掛け持ちしてるみたいな感じだよね。 ―ちなみに、現在のニューヨークのインディロックシーンはどのような状況なんでしょう? ティモシー:面白いと思うよ。パンデミック後にパッと盛り上がったと思う。その盛り上がりのあと一時期どの方向に進むか少しぐらついた時期もあったけど、ここ数カ月でまた舵を取り戻したと思うね。多くのバンドが今シーンの中で注目され始めてる。前は、インディロックシーンのローカルのバンドのショーと言えばバーでやるのが定番で、ライブ会場はツアー中のバンドがやる場所って感じだった。でも今は、ローカルシーンからのアーティストたちもそういった会場でショーをやって、それで会場が埋まるんだ。それくらいローカルシーンが今ビッグになってるってこと。 ―モノブロックというバンド名の由来は? ティモシー:モノブロックというのは、プラスチックの椅子の名前だよ。世界中で皆がよく見る芝生に置いてあるプラスチックの白い椅子。ネットであまり使われていない名前だったし、これよりも面白い名前が他に思いつかなくてさ(笑)。どこにでもあるような名前だけどある種のミステリアスさも感じられるし、かつインターネットでも使われてなかった。だから、これこそ自分たちが探していた名前だと思ったんだよね。Tシャツにしてもポスターにしてもいい感じに見えるし。バンド名に関しては、マイクがいい仕事をしてくれたんだ。僕はこれまでも他のバンドにひどい名前をつけてきたから(笑)。 マイケル:最初は3つくらい選択肢があったんだよ。僕とニーナはモノブロックを気に入って、ティムは他の名前を選ぼうとしていた。でも僕たちが彼を説得して、モノブロックに一票入れさせてその名前を勝ち取った(笑)。 ―現メンバーのニーナ・リューダース、ザック・ポックローズ、ベン・スコフィールドが加入したいきさつは? マイケル:徐々にって感じだった。まず僕とティムが数曲作ったんだけど、それを5ピースバンドで演奏したいと思った。そこでメンバーを探し始めたんだよ。ベンは大学で初めてできた僕の友人で、同じフィラデルフィアのドレクセル大学に通っていた。彼は当時映像を勉強していて撮影監督として活動していたんだけど、いつも寮でギターを弾いていた。Courier Clubでも一緒に仕事したことがあって、僕らのミュージックビデオを作ってくれたりしてたんだよ。だから本当に仲が良くて、長い付き合いなんだよね。彼のことはあまりミュージシャンとしては見てなかったんだけど、メンバーを探していた時に、「誰かギタリストを知らない?」って彼に聞いたら、「俺がやるよ」って言ってきてさ(笑)。実際、良いミュージシャンなんだよ。 ティモシー:ニーナとは、実はCourier Clubのショーで会った。僕らはオンラインでやりとりしていたからそれでお互いのことは少し知ってたんだけどね。多分2019年くらいじゃないかな。僕もニーナもあるオンラインのRPGゲームが大好きでさ(笑)。僕の中で、「そのゲームを通して知り合った人、そのゲームを楽しんでいる人とは最高のクリエイティブ・パートナーになれる」っていう自分だけの迷信があるんだよ(笑)。ニーナに「君は僕のバンドに入らなきゃ」って言ったら、「あなたも私のバンドに入ってくれるなら私もあなたのバンドに入る」と返してきたから、交換条件で彼女にバンドに入ってもらった。 そしてザックは、ニーナの知り合いだったんだ。彼らは二人ともニューヨークのコメディ・シーンにいて、毎週あるコメディ・イベントに昔一緒に通ってたんだよ。ザックはそのショーのバックバンドのドラマーで、ニーナはショーを観にいっていた。そこでネタもやったことはあるみたいなんだけど、彼女のコメディアンとしての一面はビッグシークレットらしくて、僕らには絶対に見せてくれない(笑)。ドラマーが必要になった時に彼がありがたいことにオーケーしてくれたんだ。本当にありがたかった。ニューヨークでドラマーを見つけるのは大変だからね。 ―大変なんですか? マイケル:そう。ニューヨークってソングライター系が多いんだよ。だからギターを弾く人は多いんだけど、ベースやドラムはなかなかいない。だからザックが見つかって本当によかった。僕らが彼に会った時、彼は雇われドラマーとして10個くらいのバンドにいたんだ。でも、僕らが彼を勝ち取ってフルタイムドラマーになってもらったんだよ。