Monoblocが語るNY新人バンド結成秘話、ジョイ・ディヴィジョンやガンダムからの影響
UKポストパンクに憧れを抱く理由
―ところで、モノブロックの音楽を初めて聴いた時にイギリスのバンドだと思ったんです。USのバンドながらUKのニューウェーヴ/ポストパンクのルーツを感じるという、その捻じれはどのように生まれたのでしょうか? ティモシー:アメリカの東海岸に住んでいると、カリフォルニアにロマンを感じたり、イギリスにロマンを感じたりするんだよね。隣の芝は青い、みたいな。あと、僕たちはマンチェスターのポストパンクバンドにすごく魅力を感じるんだ。ジョイ・ディヴィジョンとか、ファクトリー・レコード系のサウンド。あのデザイン的な要素が僕たちの心に響いたんだと思う。マイケルと僕は多くの時間をフィラデルフィアのウェアハウスで過ごした。そしてその廃墟と化したウェアハウスや汚れたアートスペースで、ニューヨークに引っ越すためにひたすら働いて努力したんだ。マンチェスターのバンドのビジュアル的な要素やサウンドの多くは、あの時代に僕らがいた環境をロマンチックにするための術のひとつだったと思う。彼ら以外にそれを反映するような音楽はなかったんだよね。 同時に、僕たちはイギリス人ではないから、ちょっと捻りの入ったアメリカーナなんかも入ってると思うよ。自分たちが聴いたカントリーのヒット曲からカントリー・ミュージックに対するイメージを膨らませて、それを他の音楽と鍋の中で混ぜ合わせてる。あとは、僕らが聴いて育ったバンドもリファレンスのひとつだね。インターポールとか、キラーズとか、ストロークスとか。今話した音楽全てが、僕らのDNAに刻み込まれてる。 ―1980年代のニューウェーヴ/ポストパンクは2000年代に新しい形へとアップデートされました。そこからまた20年経ち、今モノブロックの音楽は、2020年代のサウンドとしてどういった点においてさらなるアップデートに取り組んでいると思いますか? ティモシー:すごく良い質問だね。マイケル、これは君が答えた方がいいんじゃない? マイケル:音楽というのは常に循環しているもので、何かが起きては変化し、また違う形で繰り返されてる。アメリカではロック・ギター・ミュージックは50年代に始まって、それが10年ごとに変化し、常に前の10年の要素を取り入れ、新しい方法でそれを再利用することでアップデートされ続けていると思うんだ。だから、90年代の要素が2020年代の音楽に出てくるってことはあるかもしれない。でも、それって無意識に起こることで、僕たちはそれをあえて積極的にやろうと考えているわけではない。ただ、直感で音楽を作っていくことでそれが結果的に生まれるんだと思う。このバンドの使命は、そうやって音楽を作りながら新しいサウンドを模索することだよ。 マイケル:今の僕たちは、昔のバンドよりも多くの音楽にアクセスできるようになった。そうやって自分たちが経験できているより多くの音楽が他のものとブレンドされることで、面白いことが起こるんじゃないかな。僕たちは、今の僕たちにしかアクセスできないようなサウンドを鍋に放り込むことができるってことだよ。そうすることで2000年代にアップデートされた音楽を20年後に人々が参照し、過去のバンドの周りにはなかった要素がそこにミックスされ、またそれがアップデートされる。これは、全て同じ一つの物語の一部だと思うよ。 ―1stシングル「I’m Just Trying to Love You」をリリースした際すぐに海外から問い合わせが来たとのことですが、どういった反応が届いたんですか? ティモシー:少人数の人々からの、すごく良い反応だったよ。ある意味、自分たちの扉を開いてくれるであろう狭き業界の人々に届いて、それが受け入れられたのが幸運だったんだと思う。そして、聴いてくれた多くの人たちがすぐに音楽に共感し、自然に広まっていった。その流れは本当にオーガニックな音楽の広がりで、とても興味深かった。だから、バイラルという感じではなかったんだよね。じわじわと遠くまで広がっていった感じ。バンドとしてのスタートを切るにはすごく面白いプロセスだったよ。というのも、普通は、バンドを始めるときは自分たちの地元でまず小さなショーをやって、徐々に名前を広げて人を集めていく。そしてそこから地元の外へと広がっていくよね。僕たちはよく「自分らは世界のバンドだ」みたいな冗談を言葉遊びで言い合ってたんだけど、実際に今回のことが起こった時、なんだかちょっと奇妙な気がした。まだオハイオでも演奏してないのに既にメキシコに行くなんて普通じゃないからさ(笑)。 マイケル:イギリスの音楽弁護士からメールをもらって彼女とミーティングしたんだけど、あれはまるで夢みたいだったよ。僕らが彼女と話して、彼女が僕らの音楽を周りの人たちに伝え、そしてその人たちが僕らにコンタクトを取ってくるようになったんだ。まるで渦巻きみたいだった。何が起こっているのかサッパリだったよ。 ティモシー:ネット上には一曲しか出てなかった。写真も一枚だけ。あとはSoundCloudだけで。 マイケル:クレイジーだよね。あの曲のどこかに、彼らが何かを見出したようだった。とにかく、あれはエキサイティングな経験だったよ。