太田良 監督 × 安川有果 監督が語る 実話を基に、今までにない学園ドラマとして作られたオリジナルストーリー「恋愛バトルロワイヤル」
クリエイターとしてのこだわりと本作品での学び
池ノ辺 今回の撮影に当たり、ご自身がこだわっていたことは何かありますか。 太田 規模の大きい作品だったので、撮影に関わる人がすごく多い。それぞれの考えがいっぱい集まって動きながら、スケジュール的な制約もあったりします。そんな中で、自分の考えを見失わないように絵コンテを書いていました。基本、スタッフや俳優の意見は取り入れて撮影したい派なのですが、何か迷ったら立ち戻れるような共通意識となるプランが欲しいなと。絵コンテを共有することで皆が一つのものを目指してそこに向き合えたらいい、それが自分としてのこだわりのポイントだったと思います。 池ノ辺 安川監督のこだわりのポイントはどんなところですか。 安川 私の担当がちょうど全体の真ん中あたりで、登場人物たちの気持ちが変化していくというような動きのあるパートだったんです。例えば恋心が芽生えてくるといったようなところですね。それがうまく伝わらないと後半にきちんとつながっていかないだろうと思いましたので、その辺りの演出は意識しました。 池ノ辺 どんな演出だったんですか。 安川 特に表情をしっかり撮るというのは心がけました。恋する表情を、寄りの絵で押さえるということなどを意識していました。 池ノ辺 今回の撮影と今までとで随分違いましたか。 安川 違いましたね。これまで私は、割と規模の小さな作品で、好みやセンスも似て気心の知れたスタッフとの仕事が多かったんです。その分、あまり言葉にしなくてもわかってもらえるようなところでやってきてしまったんですが、今回の現場では、こういう絵が撮りたい、こういうものを目指している、そうしたことをちゃんと言語化して伝える、一人一人向き合ってきちんとコミュニケーションをとることが必要だと気付かされました。そうしないと自分が撮りたいものも撮れないんですよね。監督の仕事というのはこれまで考えていた以上にもっと細かなところでいろいろあるんだと学んだ現場でした。 池ノ辺 それはなかなか貴重な経験でしたね。 安川 本当にそうです。周りの皆さんに迷惑をかけた部分もあったと思いますが、経験できてよかったです。 池ノ辺 それがチームですからね。最近は、俳優やスタッフが過重労働にならないようにという、いわゆる働き方改革が進んできています。特にNetflixは、その辺りも配慮されていると聞きます。 安川 確かに、いつもだと寝る時間がなくてアドレナリンを出すことでなんとか乗り切る、みたいな感じがありましたが、今回は寝られるスケジュールで、考える時間もありましたので、それは仕上がりにもつながっていると思います。 池ノ辺 太田監督もそうでしたか。 太田 時間にゆとりはあったと思いますが、それでもメイクなどのスタンバイチームや美術・装飾など負担の多いチームもあるので、さらにバランスよく休みを回していけるようにまだ改善の余地はあると思いました。