今季復活優勝の河本結の14本を分析! カットスライサーのヒントになるってホント?
今季5年ぶりの通算2勝目を挙げた河本結。メルセデス・ランキング7位と安定したプレーを見せた彼女の独特過ぎるクラブセッティングを詳しくレポートしたい。 【写真】河本結の14本全部見せます! UTとアイアンの打痕がスゴ過ぎた ドライバーでは『パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆ MAX』(9度)に『スピーダーNX グリーン 50SR』を採用。そんな彼女のクラブについて、クラブフィッターの吉川仁氏に詳しく分析してもらった。 「持ち球がフェードである彼女は、悪くなるとフェースが開いてコスリ球になり、スピン量が増えてしまいます。だから、“つかまり”がポイントとなります。ヘッドを重心が深過ぎない『パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆ MAX』を使用しているのは、スピン量過多を防ぎたいからだと思います。ロフト9度もスピン量を抑える効果があると思いますね」 『スピーダーNX グリーン 50SR』シャフト採用にもフェードヒッターのこだわりが見られる。「シャフトの『スピーダーNX グリーン 50SR』は中調子系で手元のトルクが抑えられた上、フェースコントロールがしやすいモデル。先端が動きますが、ヘッドが暴れないので球をつかまえられる上、引っかけも防げます。硬度SRなので、硬度Sよりも切り返しで間が取りやすいと思います」。 『スピーダーNX グリーン』はカットスライサーに合うモデルだという。先端がしなり戻る上、ミスヒットしてもフェースがブレにくくスピン量が増えすぎない。また、重心距離が短くコントロールしやすいヘッドと組み合わせると、コスリ球を軽減できると語る。 セッティングで目を引くのが、5Wを使用せずに3Uを投入している点だ。「5Wを抜いている点を見ると、ヘッドの入射角が元々上から入りやすいスイングの特性が伺えますね。5Wだとスピン量が入り過ぎて吹け上がってしまう。だから、ロフト19度の3Uを入れているのだと思います」 河本のセッティングで一番異彩を放っているのが、アイアンのバックフェースに鉛を貼っている点だろう。河本自身がこだわりを持って貼っているというから驚きだ。 「バックフェースの下側に貼ると、多少ですが、重心が低く深くなります。ヘッドが上から入り過ぎるのを抑えたい意図があると思います。下側を重くすることで、ヘッドをシャロー軌道に動かしやすい。カット軌道のスライスに悩んでいる人のヒントになると思います。ターフを取りすぎて打点のブレにつながるので、鉛を貼ることでヘッドの突っかかりを多少緩和できますね」 ウェッジにも鉛が貼られているが、48・52度と58度では使用意図が異なるようだ。 「48・52度のバックフェースにも鉛を貼るのは、ヘッドを低く動かしてソールを滑らせたいのでしょう。バンスを使いたいのだと思います。『N.S.PRO 950 GH neo S』シャフトは手元が硬く中調子系でヘッドが走って、ボールを拾ってくれます。48・52度はフルショットでも使うので、上から入り過ぎるのを緩和したいのだと思います」 逆に58度は鉛を貼らずにヘッドの下部に穴が開いている。こちらは多少高重心にしてスピンがかかるようにしたのだ、とその意図を説明する。『N.S.PRO モーダス3プロト S』も手元系シャフトなので、ヘッドが遅れて厚い当たりが作れるのだ。 こだわりだらけの河本のセッティング。我々アマチュアゴルファーのスコアアップできるヒントが満載のようだ。 【河本結のクラブセッティング】 1W:パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆ MAX(9度/スピーダーNX グリーン 50SR) 3W:パラダイム Ai SMOKE MAX HL(16.5度/スピーダーNX グリーン 50S) 3U:XR16 2016(19度/MCH70-S) 5U:パラダイム Ai SMOKE HL(24度/MCH70-S) 5・6I:APEX PRO 2021(N.S.PRO 850GH S) 7I~PW:APEX TCB 2021(N.S.PRO 850 S) 48・52・58度:JAWS フォージド(48・52度/N.S.PRO 950 GH neo S、58度/N.S.PRO モーダス3 プロト S) PT:ホワイトホット OG ロッシー S BALL:クロムツアー プロトタイプ ◇ ◇ ◇ 上田桃子の14本にはアマチュアのヒントとなる要素がいっぱい。関連記事【今季でツアー撤退する上田桃子の14本を分析! 2016年発売の3W、15年発売の4U、16年発売のアイアンと古いモデルを好むのはなぜ?】を読めば、その秘密がわかる。