「注文方法が面倒くさい」との声もあるが…。サブウェイ「ワタミによる買収」が納得しかない訳
居酒屋『和民』で一斉を風靡したワタミが、米サブウェイと日本国内でFCを展開する契約を結んだほか、米サブウェイ日本法人を買収したことが大きな話題となった。 新著『ニセコ化するニッポン』も話題の、気鋭のチェーンストア研究家・谷頭和希氏は、「ワタミによるサブウェイの買収は、納得しかない」と指摘するーー。 【画像】もはや宅食の会社になっているワタミ、驚きの実態 前回の記事ーワタミの「サブウェイ買収」に見る居酒屋の衰退 コロナを経て、飲み会はすっかり過去の文化にーでは、ワタミによるサブウェイ買収について、コロナを経て、居酒屋業界が全体的に下降トレンドにあることを説明した。
続く今回の記事では、サブウェイの業態としての強さ、ポテンシャルについて考察していきたい。 ■なぜ、サブウェイを買収したか? ワタミ自体の不調、そして居酒屋産業自体の2つの不調の中で、近年ワタミにとっては厳しい舵取りが続いている。 詳しくは前編を読んでもらいたいが、国内の店舗数は減少の一途を辿っており、それに伴う形で宅食事業の比率が増していっている。 そんな中での、サブウェイの買収である。 決算説明会資料において、ワタミ側は「サブウェイしかないと考えた理由」として5ポイントを挙げている。
①強いブランド力、世界のサブウェイ ②ハンバーガー OR サンドウィッチの世界 ③美味しい(ワタミのノウハウでもっと美味しく) ④強い業態力(収益力) ⑤少商圏業態 全世界で3万7000店舗を展開しているブランド力(①)に、日本では競合の多いハンバーガーではなくサンドウィッチで勝負できること(②)、そして何よりも味のおいしさと(③)と1店舗で3回の資本回転(資本金2000万円に対して年間で6000万円売り上げる)という強い業態力(④)、そして商業施設の中や駅の構内など小さい場所でも出店可能である(⑤)というのが、ポイントだ。
さらにこれに加えて筆者は、サブウェイ自体がこれからの飲食のトレンドを先取りしており、かなり先行きが明るい業態だということも指摘したい。それを、 (a)「美味しさ」×「健康」 (b)「体験型飲食」 の2つに求めたい。 ■「美味しさ」×「健康」で顧客に訴求する よく知られているように、サブウェイはアメリカでは2万店舗以上を展開し、大手ファストフードチェーンの中でも一番の店舗数を誇っている。 2010年代半ばからは、その勢いが若干失速しているが、それでもアメリカの中では最大手のチェーン店の1つだ。こうした背景には、「サブウェイ=健康」という認識の浸透があるだろう。実際、ふんだんに野菜が入ったサンドウィッチはヘルシー志向にマッチしている。