話題のエヌビディアだけではない、隠れたAI関連の好業績株の行方
投資家は慎重な対応が必要
だが、業績の伸びが続いても、必ずしも上昇するとはかぎらないのが株価。9月4日には前週末比7ドル83セント安と9パーセントあまりの大幅な値下がりを演じた。 きっかけはエヌビディア株の急落。米司法省がエヌビディアに対し反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで文書提出命令状を送付して強制調査に乗り出したとの報道を受けて、売り物が膨らんだ。エヌビディアの「一強」シナリオ崩壊への警戒が広がったというわけだ。 ヴァーティブ株はこれに「ツレ安」した格好。同社株の先行きも当面、エヌビディア株の動向に大きく左右されそうだ。 気がかりなのは、司法省の調査の行方だけではない。AI事業の収益性が問われ始めていることもその1つだ。8月上旬に相場全般が厳しい下げに見舞われたのは、グーグルの持ち株会社であるアルファベットがこの7月下旬の決算で高水準の設備投資を続ける見通しを示したのが一因だった。 「AI関連の投資は拡大しているが、デジタルトランスフォーメーション(DX)などへの取り組みは思ったほど広がっていない」という投資の先細りに対する警戒感が台頭し、楽観論に覆われていた市場のムードが変化。これに伴ってグーグル、マイクロソフトなどを顧客とするエヌビディアの株価は下落し、7月上旬の高値から8月上旬の安値までの値下がり率は終値ベースで約25パーセントに達した。 ニッセイ基礎研究所の前山裕亮・主任研究員は「2024年以降の株価上昇がそもそも異常。期待を上回る決算が続いていたが、ここへきて怖さを覚える投資家が増えたのではないか」などと推測する。 ヴァーティブの株価も似たような値動きを見せているだけに、投資家は慎重な対応が必要だろう。しかも、時価総額がさほど大きくないとあって、株価の乱高下への注意も怠ることはできない。 ちなみにエヌビディアの時価総額は2兆6000億ドル(約382兆円)余り、これに対して、ヴァーティブは約282億ドル(同19兆4000億円)とわずか1パーセントあまりの水準にとどまる。
松崎泰弘