残業したくない!残業続きの毎日を脱するための対処法を伝授します
近年、若手社会人の多くから「残業したくない」という声が聞こえてきます。それに対し、管理職層が「甘えている」と指摘するケースもよく見られます。残業を避けようとするのは「甘え」なのでしょうか。残業が発生してしまう原因、残業を減らすための対処法などについて、株式会社ワーク・ライフバランスのコンサルタントとして働き方改革の支援を手がける永田瑠奈さんにアドバイスをいただきました。
残業したくないのに、残業が多くなってしまう原因
そもそも残業はなぜ発生してしまうのでしょうか。その原因は仕事内容や職場の状況によって多様ですが、大別すると次のような状況が挙げられます。 ◆残業が当たり前の雰囲気がある 「残業=美徳」という意識が根付いており、早く業務を終えても帰りづらい雰囲気の職場があります。こうした職場では、上司や同僚に合わせて「付き合い残業」をしてしまいがちです。 ◆職場の人手が足りない 業務量に対して人員の数が足りていないと、1人が抱える業務が増え、残業しなければ終わらない状況に陥ってしまいます。近年は労働人口減少により採用難となっており、人員補充したくても応募者が集まらないケースも多いようです。 ◆職場の業務効率が悪い デジタルツールなどを使えば短時間で済む仕事も手作業で行っていたり、紙でのやりとりをしていたりと、業務の効率化が進んでいない職場では時間のロスが発生しがちです。メンバーへの業務の割り振りが適切でなく、特定の人に仕事が集中して残業につながるケースもあります。 ◆突発的な仕事がよく入ってくる 取り扱う商品やサービスによっては、顧客から急ぎの注文や依頼が頻繁に入ります。自身で立てたスケジュール通りに進められず、所定勤務時間内に終わらないことも多々あります。
「残業したくない」は甘えなのか
「残業したくない」という若手社員に対し、「それは甘えだ」と手厳しく指摘する上司がいます。残業を避けたいと考えるのは、甘えなのでしょうか。 残業を拒む理由は人それぞれであり、一概にYES/NOとは明言できないのですが、昨今の若い世代は決してゆるりと働きたいわけでなく、「効率的に働いて時間を有効活用したい」という志向を持つ方が多いと感じます。 本来、経営側の目線では、効率的に働いてもらって残業手当のコストを削減できる方が望ましいはず。それにも関わらず上司が部下に残業を推奨するのはなぜなのでしょうか。 残業拒否を「甘えだ」と言う管理職層の多くは、自身が過去に頑張って残業をしてきた方々で、それによって成果を挙げたり、愛社精神を示したりしてきた結果、今のポジションに就いていることが多いものです。 そんな過去の自身と重ねると、「残業したくない」=「成果を挙げようとする意欲が乏しい」「愛社精神がない」と捉えてしまうことがあるようです。 また、過去に残業を頑張った自分を否定されている気分になり、「リスペクトされていない」と不安を感じていたりもするのです。そうした上司の背景と心理を理解しておくことで、冷静に受け止められるのではないでしょうか。 しかし時代は変わりました。「人生100年時代」と言われる今、20代~30代の皆さんが残りの70~80年を生き抜いていくためには、今から心身の健康を維持できる生活スタイルを定着させることが大切です。そもそも明日の仕事に集中力を発揮するためには、十分な睡眠が欠かせません。 また、さまざまな仕事がAI(人工知能)に置き換えられていくなか、「求められる人材」であり続けるためには知識・スキルを常にアップデートしていく必要があります。 こうした「健康維持」「スキル習得」のためにプライベートの時間を有効活用しようとするなら、残業の拒否は「甘えではない」と言えるでしょう。