働きながら資産2億円を達成した弐億貯男さんの投資術
現役サラリーマン投資家の弐億貯男さん。忙しい中でも実践しやすい割安成長株の中長期投資で、年率30%キープという驚異的なパフォーマンスを発揮。現在は2億円超の資産を運用しています。 今回は、2021年9月に上梓された『 割安成長株で2億円 実践テクニック100 』(ダイヤモンド社)の内容や、現在注目している銘柄についてお伺いしました。 ■割安成長株で2億円達成 2002年10月、27歳の頃に株式投資を始め、2019年に資産2億円を築くことができました。2006年の「ライブドアショック」や2008年の「リーマンショック」で一気に資金不足になるなど、苦しい経験も重ねてきましたが、2012年以降のアベノミクス相場の追い風もあり資産が拡大しました。 やってきたことはかなりシンプルです。サラリーマンとして働きながらでしたので、投資にかける時間もそれほど多くありませんでした。だからこそ、この本を参考にしていただければ、多くの人に資産形成を再現してもらえるのではないかと思っています。 具体的には「割安成長株」を中心とした投資を行ってきました。投資判断に使うのは決算短信1ページ目にある売り上げと利益や、決算説明資料の情報などが主で、貸借対照表などの財務諸表を読み込むことはしません。過去数年の業績トレンドと現在の状況から、2~3年先程度の売り上げや利益を想定し、成長性を判断しています。 加えてよく用いられているPER(株価収益率)で、割安性を確認します。15倍以下がおおむねの目安ですが、成長性が高い場合は少し柔軟に考えることもあります。そして、30%以上のリターンが得られたときなど、銘柄ごとの目標株価をイメージしておき、値上がり益を狙うという戦略です。 ■IPOセカンダリー投資で銘柄探し この「割安成長株」を“手抜き”で見つける方法が、IPO(新規公開株式)のセカンダリー投資です。これは上場前後に人気を集めていた銘柄が、しばらく経って割安になったタイミングを狙う手法です。 たとえば、今年上場した銘柄の中で、今の株価が公募価格を割り込んでいるものに注目してみます。その会社の成長性などを考えて、割安性もあるとしたら投資候補に入れるといった流れです。 ただし、気をつけたいのは「上場ゴール」銘柄をつかまないようにすることです。大株主が投資ファンドばかりの場合、IPO後に売り抜いて出資資金を回収することだけが目的となり、その後の成長性がなおざりになっていることがあるのです。最低限、IPO後に1~2回は決算が出てから、投資の判断をすることをおすすめします。 ■ストックビジネスの安心感 2012年4月に上場したチャーム・ケア・コーポレーション(6062)は、IPOから数年は株価が冴えませんでしたが、2016年頃から急騰しました。2012年当時は1銘柄500万円程度で、10個未満程度の分散投資をしていましたが、チャーム・ケアは結果的に株価が10倍を超える「テンバガー」となり、これだけで保有資産6000万円程度になりました。このほかの銘柄でも地道に売買を繰り返したことで、資産2億円を超えたという流れです。 チャーム・ケアの特徴はストックビジネスです。有料老人ホームを新設すると、入居所が埋まって家賃収入などがストックされていくというものです。増収見通しが立てやすく、安心して投資ができる魅力があります。 同様の流れで、プレミアグループ(7199)にも投資しています。中古車オートクレジットとワランティ(故障保証)ビジネスが積み上がっていくことで、売り上げが右肩上がりに上昇していくことが期待されます。売り上げと利益がともに20%超で伸び続けているうちは、手放す必要はないかなと考えています。 ■今期待している銘柄は? 値上げを発表している銘柄にも注目しています。賃上げが話題になってる中で、値上げをしなければその原資は捻出しにくく、利益率にも影響が出ます。その点、投資用不動産サイトを運営する楽待(6037)は、ポータルサイト上の掲載料を値上げしています。今後の売り上げや利益率向上に期待ができるとみて、投資を決めました。 また、ホテル関連でアメイズ(6076)もこれに近い理由で投資しています。九州を地盤としてビジネスホテル「HOTEL AZ」を運営する企業で、朝食付きの1名用の部屋が1泊5000円程度という比較的低価格なサービスを提供しています。それが2025年6月からは同様のサービスで6000円超と、20%程度値上げするとのことです。こういった値上げができる強い銘柄で、成長性や割安性の条件を満たすものは、しっかりと拾っていきたいと思っています。 (構成:伊藤退助) ※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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