予想以上の「大勝」で、動き始めた「トランプ2.0」【播摩卓士の経済コラム】
事前に「歴史的な接戦」と伝えられていた割には、「トランプ大勝」と言って良い、選挙結果でした。民主党のハリス候補は、激戦州と言われた7つの州を1つも取ることができず、選挙人の数では大差がつきました。総得票数でも、今回はトランプ氏がハリス氏を上回ることが確実です。事前には開票後の混乱を心配する声すらありましたが、票を数え直す必要などない、明白な結果でした。 【写真を見る】予想以上の「大勝」で、動き始めた「トランプ2.0」【播摩卓士の経済コラム】 ■まずは、株高・金利高・ドル高 開票結果を受けた6日の金融市場では、トランプトレードが進行、ドル高、株高が進みました。中でもダウ平均株価は1508ドル高と4年ぶりの上げ幅を記録、4万3729ドルと過去最高値を更新しました。ハイテク株中心のナスダックや多くの投資家が運用の指標とするS&P500指数も最高値を更新しました。 また債券市場では、第2期トランプ政権で大規模減税の恒久化など財政が拡張的になるとの見方から、10年債の利回りが一時4.4%台をつけ、これを受けて為替市場ではドル高が一段と進みました。円相場は、一時1ドル=154円台まで円安が進みました。 ■株高の恩恵は米市場だけ? ただ、株高とは言ってもアメリカ市場に限っての話で、欧州市場では株価はマイナスとなりました。7日の東京市場も日経平均株価は、寄り付きこそ高かったものの、その後はずるずると値を下げ、終値は99円安の3万9381円でした。トランプ当選を機に「再び4万円台に」という期待には、手が届きませんでした。 第2期トランプ政権、いわゆる「トランプ2.0」が、世界経済にはむしろ先行き不透明感を与えているばかりか、同盟国にも関税引き上げを躊躇わない姿勢が、株価での「アメリカ一人勝ち」を導いたとも言えなくもありません。 ■「トリプルレッド」で「トランプ2.0」が実現 大統領選挙だけでなく同時に行われた議会選挙でも共和党が勝利したことも、今回の選挙で特筆すべきことです。上院ではすでに共和党が過半数を占めることが確定し、開票作業が遅れている下院でも共和党が大きくリードしており、過半数獲得が確実視されています。大統領、上院、下院と3つがすべて共和党、すなわち「トリプルレッド」となれば、トランプ大統領のやりたい政策は、簡単に議会を通ることになります。