自分に無関係と思っていた「アレルギー」が、大人になってから発症し救急搬送....。注意すべきことを専門医が解説
何かを食べたあと、突然体に湿疹が出てきたという経験はないだろうか。 湿疹以外には、目のかゆみ、鼻水、下痢、顔の腫れ、呼吸がしにくいなどの症状が表れることがある。重症の場合は、アナフィラキシーショックになることも。 【写真】春のアレルギー症状、放っておけない10の兆候を医師が解説 「花粉症もそうですが、通常は体を守るために働く免疫反応が暴走するとこういったアレルギー反応が起こります。何かを食べてから症状が起きた場合は、食物アレルギーの疑いがあります。食物アレルギーというと、子どもに多いと思いがちですが、実は大人の患者さんも多い。しかも、アレルギーの原因物質が意外なものというケースも少なくありません」と言うのは、独立行政法人国立病院機構・相模原病院などでアレルギー臨床・研究を多く経験したアレルギー専門医で現在、中村橋いとう内科クリニック院長の伊藤潤医師だ。
海外の化粧品、お土産には注意?
食物アレルギーというと蕎麦、小麦、牛乳などのアレルギーは聞いたことがあるが意外なものとは? 「例えば、スイスから買ってきたマカロンを食べた30分後に、下痢、嘔吐、蕁麻疹などの症状が出て、救急搬送された女性がいたのですが、いろいろ調べていくとマカロンに入っていたコチニール色素のアレルギーでした。これは、赤色の色素で日本では規制されていますが、海外では使用の規定がゆるい国も多く、お菓子やソーセージ、ハムなどに入っていることも。そして、この女性はフランス製の口紅やチークを使っていたのですが、それらにもコチニール色素は入っていました。女性は毎日メイクをするので、意識せず皮膚からアレルゲンが入り、マカロンを食べたことで免疫反応が暴走してしまったのです」。 海外で購入した化粧品や食品には注意が必要だという。他には、アロマオイルによる感作(繰り返される刺激により、それに対しての反応が徐々に増していくプロセス)を契機とした食物アレルギーもある。 「自然なものは安全という認識を持っている人が多いですが、実はアレルギーの原因物質の多くは自然のものです。ナチュラル=安全とは言えません。また、女性にみられるのが大根アレルギー。料理をする機会が多いことが影響しているのかもしれませんが、大根だけでなくアブラナ科の野菜に反応してしまうこともあります」。 他のものに関わったことで食物アレルギーを起こす、というケースが大人の場合にはよくあると伊藤先生は言う。 「原因物質を探るなどアレルギー治療は、専門的な知識が重要になります。ですが、大人の食物アレルギーを診る専門医はその中でもごく少数で、専門的な知識がなく診ているクリニックもあります。日本アレルギー学会のサイトには専門医・指導医一覧が掲載されています。また、大人の食物アレルギーと遅延型アレルギーを混同している方もいます。日本アレルギー学会は、遅延型アレルギー検査の有効性を否定しています。そういった意味からも、エビデンスがある治療を選んでほしいと思います」
From Harper's BAZAAR April 2024 Issue