“30万円の絵画”が売れる!日本から世界へ「ヘラルボニー」のアートビジネス
今回のテーマは、SDGsウイーク「異彩を放て!世界へ~誰もが輝く社会へ」。 「誰一人取り残さない」ことを誓った世界共通の目標「SDGs」。目標達成の根幹をなすとされるダイバーシティ(多様性)に強い信念で取り組んでいるのが、岩手県に本社を置く「ヘラルボニー」だ。主に知的障害のあるアーティストとライセンス契約を結び、2000点を超えるアートのデータを活用した商品企画・販売を手掛けている。 障害のある人たちの可能性を広げ、ともに未来を切り開こうとする挑戦者たちの姿を追った。 【動画】“30万円の絵画”が売れる!日本から世界へ「ヘラルボニー」のアートビジネス
大手企業と続々協業!「異彩」を放つアート作品
この日、老舗百貨店「阪急うめだ本店」(大阪市)の催事場は、多くのお客でにぎわっていた。売られていたシャツやネクタイは、どれも斬新な柄が目を引く。
ある客は「色味がとてもすてき」と、女性の顔が独特の筆遣いで描かれたスカーフ(2万2000円)をお買い上げ。
隣のスペースで売られている絵画も、個性的な作品ばかり。客が購入したのは、アクリルペイントの色彩豊かな線や点が印象的な作品で、価格は38万5000円。 「引きつけられる。迷わず買った。たまたま障害のある方が描かれたと聞いて、さらにすごいなと思った」と、その魅力を話す。実はこれら全て、障害のある人たちの作品だ。
イベントを主催しているのは「ヘラルボニー」(岩手・盛岡市)という会社で、障害があるアーティストの原画やライセンス契約したデザインを商品化して販売。作家241人と契約して作品自体の販売を手掛ける他、2000点以上の作品をデータとして管理し、アパレルやアメニティーグッズのデザインとして展開している。 会社を運営しているのは、双子の兄弟、兄・松田文登さん(33)と弟の崇弥さん(33)。2018年に創業した「ヘラルボニー」は東京にも拠点があり、時代の波に乗って成長を続けている。 これまでにないアートビジネスについて、崇弥さんは「著作権のデータでIPの管理をして、商品化する。作家さんや親御さんの許諾を取れば経済が動いていくのではないか」と話す。