“30万円の絵画”が売れる!日本から世界へ「ヘラルボニー」のアートビジネス
岩手県にはもう一つ、松田兄弟が「ヘラルボニー」を立ち上げた原点がある。それは、重い自閉症がある4歳年上の兄・翔太さんの存在だ。 3人は幼い頃から仲良しだったが、成長するにつれ、双子の兄弟は友人たちの心ない言動から障害に対する偏見を感じるように。しかし大人になるにつれ、自然と「兄のような人たちと関わる仕事がしたい」そう考えるようになった。
これは翔太さんが子どもの頃に使っていたノート。そこに何気なく書き記されていたのが「ヘラルボニー」という文字だった。「最終的には兄が幸せに生きていく、それを目指していくことが、全ての障害のある方たち、いろんな人たちの一歩になる」と文登さんは話す。
「誰もが輝く社会へ」…日本発世界への挑戦!
5月下旬、フランス・パリ。「ヘラルボニー」は新たな挑戦を始めていた。世界中からスタートアップ企業などが集まる見本市「VIVA TECHNOLOGY 2024」の一画にブースを設け、自分たちの商品を展示することになったのだ。 このイベントの最大の目玉が、モエヘネシー・ルイヴィトンが主催する「イノベーションアワード」。受賞すると、世界最大の高級ブランドグループから、オフィスの提供や取引先の紹介といった手厚いサポートが受けられる。世界中のスタートアップ企業にとって大きなチャンスで、受賞できるのはエントリーした89カ国1545社中わずか6社だが、「ヘラルボニー」は、見事世界の6社に選ばれた。 受賞から半月後のパリ。崇弥さんと「ヘラルボニー」海外担当の小林恵さんを待っていたのは、フランスに本社を置く世界的な保険会社「アクサ」の人たち。崇弥さんは、日本で始めたビジネスモデルを芸術の国・フランスで力説する。今や事業の柱に成長した企業とのコラボ、これを世界進出の足掛かりにしようとしていたのだ。
7月下旬。東京に戻った崇弥さんは、世界進出に向けた商品作りに取り掛かっていた。人気のスカーフを海外向けに生地から作り直し、2カ月後に開かれる世界的なイベント「パリ・ファッションウィーク」に打って出ようというのだ。 早速、管理する2000件のデータの中から、ヨーロッパでも人気となりそうなデザインを新たに選ぶ。通常、制作するには半年かかるが、「パリ・ファッションウィーク」まで2カ月…果たして、世界にアピールできるスカーフは出来上がるのか。そして今回、崇弥さんがどうしてもタッグを組みたかった相手とは――。 ※「ガイアの夜明け」より
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