【40代・50代こそ知っておきたい】タンパク質が体でちゃんと働くには、油をとることが必要だった! その理由は?
健康にはタンパク質をとることが大事という認識が浸透してきた昨今。でも「油」については、“太るから減らす”と考える人は多いかも? タンパク質に本来の働きをしてもらうためにも、実は油をしっかりとる必要があるそう。その理由や、油の選び方やとり方について、最新の分子整合栄養学に詳しい管理栄養士の金津里佳さんに伺った。
油をとらないと、体をつくるために必要なタンパク質が不足してしまう!
最近、タンパク質の重要性については広く知られるようになりましたが、まだまだ誤解が多いのが脂質、つまり「油」のとり方です。体内でタンパク質にしっかり働いてもらうためには実は油が不可欠。では、その理由とは? 「私たちの体の細胞のひとつひとつにはミトコンドリアが存在し、そのミトコンドリアの中には、体を動かすエネルギーを生み出す代謝経路があります。このエネルギーを生み出すのに欠かせないのが、3大栄養素の糖質、脂質、タンパク質で、中でも最も効率のよい原料となるのが脂質です。 タンパク質も使われますが、脂質や糖質に比べると効率がよいとは言えません。タンパク質は筋肉やホルモン、消化酵素など体をつくる材料になり、そちらに優先的に使われるからです。 ところが脂質が減るとタンパク質がエネルギー源として使われ、体をつくるためのタンパク質が不足してしまいます。これを防ぐために、良質な脂質をしっかりとったほうがよいのです。 ちなみに、ジムで筋トレをしている人などで、筋肉をつけるためにと、脂肪の少ない鶏の胸肉とブロッコリーしか食べず、脂質はまったくとらないという人がいますが、この食べ方だとタンパク質がエネルギーを生み出すことに使われてしまい、筋肉をつくる分のタンパク質が不足してしまうことを理解していただきたいですね」(金津里佳さん)
加熱調理には、酸化しにくい動物性の油やココナッツオイルが◎
では、どんな油を選んでとるとよいのでしょうか? 「油ならなんでもよいわけではなく、質のよいものを選んでとることが大切です。 まず、加熱調理におすすめの油は、構造が安定していて酸化しにくい飽和脂肪酸、つまりバター、ラード、牛脂などのような動物性の脂です。酸化した脂がなぜよくないかというと、ヒトの細胞の膜は油でつくられているので、それが酸化した油でつくられると、膜がガチガチになって栄養素が取り込まれにくくなり、細胞の働きが低下するからです。 私は炒め物にはバターやラードを使っています。最近、よく見かけるようになったマヨネーズのような容器に入っているラードは使いやすいのでおすすめです。肉を炒めるときに使うとコクが出ておいしいですよ。 ちなみに、肉の脂も飽和脂肪酸で、酸化しにくいので悪者ではありません。ただし、肉は質が重要で、どんな飼料で育てられているかによって質に大きな差が出ます。例えば牛は牧草だけを食べて育つのが本来の姿なので、グラスフェッドビーフなら肉質も脂も良質です。 あまりにも安い肉は質の悪い飼料で育てられた可能性が高く、脂の質も悪いので避けましょう。良質な肉の脂は白っぽいですが、質の悪い肉は臭みが強かったり、脂が黄色くなっていたりするので、買うときの参考に。 そのほか、加熱調理にはココナッツオイルもおすすめです。植物由来ですが飽和脂肪酸が多く、酸化しにくいのが特徴。無臭タイプも売られているので、そういったものを選べば料理の味をじゃましないのでおすすめです。ただし、粗悪品もあるので、有機JASマークがついているものを選びましょう。 逆に控えたほうがいい油は、サラダ油や、加工食品に多く使用される食用油脂などのオメガ6系の油です。現代人は過剰摂取ぎみで、とりすぎると炎症の原因になるのでなるべく控えましょう」