「そもそもロシア選手を出場禁止にしておけば問題はおきていない!」海外メディアはワリエワのドーピング違反で痛烈批判
そして今大会のドーピング問題に毅然とした処分を科さなかったことを叩いた。 「IOCは道を切り開くことができた。あのときチャンスはあったのだ。ロシアのアスリートを4年間、つまり夏季と冬季五輪を共に出場停止にすれば、今、私たちはこの状態にはなっていなかったかもしれない。あれから何年も経ってからここ北京で事がおきた。今回のワリエワの陽性反応とその騒動が起きたのは、IOCが個々のケースを精査しながらも、システムの責任を追及してこなかったことに起因している」 そして記事を「(IOCの広報官の)アダムス氏が真顔で“透明性“について話すことができる一方で何が起こっているのかについての情報を全く提供しないという魔法のような世界に住むことは、なんと素晴らしいことだろう」との皮肉でまとめた。 ニューヨークタイムズ電子版も「ロシアはドーピングによって追放されているのになぜロシア選手が北京にいるのか?」という見出しをつけてIOCの責任を追及した。 「北京五輪には、昨年の東京五輪と同様に何百人ものロシア人選手、チーム、コーチが参加している。ROCとしての参加であるが、このような区別は無意味だと批判する人もいる。IOCは、ロシア選手を出場させるという決定を見直すのだろうか。少なくとも公式には、そのような心変わりの可能性は低いだろう。政府によって作られ、運営された組織的なドーピング計画であったとしても、トーマス・バッハ会長を筆頭にIOCは、“個々のアスリートは他人の行為のために処罰されるべきではない”という、しばしば不評を買う姿勢をとっている」とし、今後も、出場停止処分を科す可能性は低いのではないかと予想している。 また同紙は別の記事で、米国アンチドーピング機構の最高責任者であるトラビス・タイガート氏のインタビューを掲載。昨年12月のワリエワの検査結果が報告されるまでに1か月以上かかったことに対して、タイガート氏は「全くの無能だ」と怒りをあらわにし、「ロシアのアンチドーピング機関と世界アンチドーピング機構は五輪が近づいている中で、結果を急ぐべきだった」と、ここまでの対応に否定的な見解を示した。 ただ一方で、ワリエワ個人に対しては同情的な声もある。米国代表として2018年の平昌五輪のフィギュアスケート団体戦で銅メダルを獲得したアダム・リッポン氏は、「この状況に心が痛む」とツイートした。 「この若い女性はまだ15歳。彼女は未成年だ。周りの大人たちが完全に彼女を裏切ったのだ。彼らが彼女をこのようなひどい状況に追い込んだのだから、罰せられるべき」とし、ワリエワを擁護すると同時に、専属コーチなど周囲の関係者を強く批判した。 ワリエワが出場予定の女子シングルSPが15日に迫っているため、CASの裁定は早急に出されると見られている。