文房具好きの木下綾乃さんがコクヨを訪問、進化を続ける文房具を語り合う
木下 そのペンは気になってました。私、文房具はシンプルで質実剛健なもの、もしくはおもちゃっぽいような、面白いギミックがあるものが好きなんです。これはまさに後者ですね。 三上 「PASTA(パスタ)」(下)というマーカーも人気です。 木下 口紅みたいに繰り出して使うんですね。可愛いし、描き心地もいい。 三上 日本の筆記具は、ヨーロッパやアジアなど、世界市場でも人気です。
三上 さらに最近、筆記具と紙の相性を考えたものも出たんです。「ペルパネプ」(下)というシリーズで、「ツルツル」「さらさら」「ザラザラ」の3種類の紙でノートを作って、それぞれ相性のいいペンを提案しています。 木下 (ノートに試し書きをしながら)気持ちいい! この「ツルツル」っていう紙、手触りがよくてずっと触っていたいくらい。「ザラザラ」も好きです。 三上 紙の繊維レベルまで書き心地を追求しているんです。マニアックですよね(笑)。 木下 私もイラストを描く際に「この紙じゃなくちゃ」というのがあるので、紙選びの大事さはよくわかります。 三上 書き心地というと筆記具に目がいきがちですが、紙も大事なんですよね。手に伝わる紙の凹凸やインクの滲み具合の好みはとてもパーソナルな感覚。記録をする時はこの紙がいいけれど、アイデアを広げる時はこれがいいなど、シーンによっても異なってくるのが面白いところだと思います。
アクセサリーやインテリア、アウトドア用品になるものも。
三上 最近は、文房具の枠をはみ出た商品も多いです。インテリアになるものや、アクセサリー感覚で使えるもの、アウトドアでも使えそうなものも。コクヨで出している「ハコアケ」(下)というカッター兼はさみもその一つです。キャンプで使う五徳ナイフに通じるものがありますよね。
木下 確かに、これは山に持って行って仲間に自慢したくなるかも(笑)。 三上 文房具は机の上だけにとどまらず、生活のいろんなシーンに寄り添うものなんだと思います。 木下 生活や趣味が変わると、求める文房具も変わりますよね。私も山登りを始めてから山小屋のスタンプを押すための軽くて小さいノートを探すようになったし、子どもが生まれてからは口に入れても平気なクレヨンが欲しくなりました。探してみると常に何かしら便利なものがあるんです。 三上 一方で、そうした便利なもの、暮らしをアップデートしてくれるものがまだまだ知られていない面も。 木下 多少不便なものでも、「こんなものかな」と思ってずっと使い続けている人も多そうですよね。 三上 私の仕事は商品の売り場をデザインすることなんですが、常に考えているのは、文房具の魅力に出合うきっかけを提供したいなということ。この「THE CAMPUS」のショップでも、商品をジャンルごとに置くというより、マーケットのようにあえて混在させて並べたり、文房具を自由に試せるようコーナーを作ったりして、お店に来た方に楽しんでもらえるようにしています。羽田空港第3ターミナル駅直結の施設にある直営店には、文房具の自販機があるんですよ。 木下 文房具の自販機? 楽しそう。 三上 中に何が入っているかわからないシークレットセットという商品も買えるんです。そういうワクワクする体験も含めて、文房具の面白さや奥深さを伝えていきたいですね。