文房具好きの木下綾乃さんがコクヨを訪問、進化を続ける文房具を語り合う
「ここまでする!?」と思うほど作り込まれている日本の文房具。
木下 私は手紙を出すのが好きで、便箋やカードなどもたくさん持っているんです。子どもが描いた絵で封筒を作ったり、そこにマスキングテープやシールを貼ったり。自分の手で作る喜びは確かにありますね。紙を触っているだけで楽しいし、「モノ」としてのよさというのはあると思います。 三上 文房具って、体にすごく近い日用品ですよね。手に馴染むものだし、親しみやすい。でもこんなにさりげないのに、実はものすごいこだわりや技術が詰まっている。まるで小宇宙みたいな存在だなあと思うんです。 木下 確かに「ここまでする!?」と思うくらい細やかな配慮がされているものが多いですよね。前から「ドットライナー」(下)というテープのりを愛用しているんですが、のり面がドット状になっているのでキレがすごくよくて、止めたいところでピタッと止められるのが本当にすごい!
三上 ドット状でも接着力が落ちないよう、ひとつの点に頑張ってのりをなるべく多く積んでいるんですよ。しかも、封筒用、小さな紙用など、用途別に十数種類のラインナップがあります。 木下 最近、昔よりドットが密になっている気が……。日々改良を重ねているんでしょうね。あと、マスキングテープにつけられるクリップタイプのテープカッター(下)も切れ味がよくて、一度使ったらもう手放せません。
三上 テープカッターも肉眼では見えないほど細かい特殊加工をした刃を使っているから軽い力で切れる。日本の文房具ってやり過ぎなくらい作り込んでいるものが多くて、そこがファンの心をくすぐるのかもしれないですね。 木下 ここ最近、文房具市場でよく売れているのはどんなものなんですか? 三上 コロナ禍で家時間が増えたこともあり、カラーペンなどの画材や筆記具は好調です。描いたイラストなどをSNSに投稿する人が増えているので、それも後押ししているんだと思います。 木下 面白いペンやマーカーも増えていそうです。 三上 「ビートルティップ」(下)というマーカーは、一つのペン先で太い線と細い線と二重線の3種類が描けるんです。