記者の目 ロッテ・佐々木朗希は年間通した活躍には至らずも…球団は「条件」より「夢」を応援した
ロッテは9日、佐々木朗希投手(23)のポスティングシステムによる米大リーグ移籍へ向けた手続きを開始すると発表した。現行の大リーグの労使協定では、25歳未満のドラフト対象外の外国人選手とはマイナー契約しか結べない「25歳ルール」があり、契約金、年俸も低く抑えられるが、本人の夢を後押しする決断を下した。最速165キロ右腕への関心は米国内でも高く、争奪戦が予想され、米メディアでは獲得の有力候補にドジャースを挙げている。 今年23歳の佐々木にとって、最大の障壁となったのが「25歳ルール」。マイナー契約に限られ、700万ドル(約11億円)で契約を結んだ場合、ロッテが手にする譲渡金は175万ドル(約2億7000万円)に限られる。25歳まで待てば30倍ほどの金額が入る可能性もあったが、球団は容認を決断した。 「25歳ルール」が作られてから、過去に25歳未満で大リーグに挑戦したのは2017年オフに日本ハムからエンゼルスに移籍した当時23歳の大谷翔平(現ドジャース)のみ。15年には最多勝、最優秀防御率、最高勝率のタイトルを獲得。16年に日本一に導いてから海を渡った。 佐々木の場合、完全試合などを達成した一方、年間を通してローテーションを回ることができておらず、投手の主要タイトルには輝いていない。ファンの理解を得られるのか、難しい判断でもあった。 入団時から契約していたのではないかとの見方もできるが、松本球団本部長は「本当にない。毎年、その都度話してきた」と否定。早期にメジャーに行かせる前例となってしまうのでは-との質問には「本当に一年一年、しっかりと自分自身を持って話をしていた。こうなったら背中を後押ししてあげたい」と答えた。球団は「条件」より「夢」を応援した形となった。(森祥太郎)