【有馬記念】昨年の再現の願い込め、紫の“勝負ネクタイ”/ドウデュース友道師独占手記4
<栄光の道程> グランプリ有馬記念(G1、芝2500メートル、22日=中山)でラストランを迎えるドウデュース(牡5、友道)を管理する、ダービー3勝トレーナー友道康夫調教師(61)が、独占手記連載「栄光の道程」で愛馬との道のりを振り返る、全4回の最終回。 ◇ ◇ ◇ 実は、2走前の天皇賞・秋を勝ったあと、有馬記念は使わずに種牡馬入りする話がありました。ダービーで東京芝2400メートルのG1勝利実績があり、有馬記念は昨年に勝っていますから。牧場サイドから「もう種牡馬にあげていいですよ」と言われてました。 ただ、天皇賞・秋のレース後も状態が良く、豊くんが乗ったジャパンCの1週前追い切り時に、「今、馬はすごく具合がいいから、ジャパンCの成績にかかわらず、有馬記念は行こう」と、ふたりの間で話をしました。この世界に入った時から憧れていた武豊騎手とダービーを勝ったドウデュースで、秋古馬3冠と有馬記念連覇を飾りたい。その思いは強いです。 ちょうど1年前の有馬記念時から、G1の日は同じ紫色のネクタイを身につけています。昨年に香港で買ったもので、有馬記念時に着用し、ドウデュースが復活の勝利をあげてくれました。今まで着けていた赤の“勝負ネクタイ”がボロボロになり、新調したもので、これが3代目となります。先週の朝日杯FSアドマイヤズームの時も着けてました。昨年の再現を、という意味も込め、今年も着用するつもりです。 また、今年のG1出走時は、ずっと同じ青いスーツを着ています。私のG1初制覇となった08年天皇賞(春)のアドマイヤジュピタなど、昔から大変お世話になった近藤利一会長からいただいたものです。元々、アドマイヤマーズが香港マイルを勝った19年冬に、会長が香港で着用するために新調されたスーツだったのですが、レース前に会長が亡くなったので、譲っていただきました。サイズが合わなかったのですが、急きょ仕立ててもらい、香港に持っていくことができました。今年はジャスティンミラノが勝った共同通信杯から、G1時にはずっと着ています。今でも内ポケットには、「R・K」と刻まれています。 思い入れのあるネクタイとスーツを着て、今年の有馬記念に臨みます。ドウデュースは本当にすごい馬で、手紙やお菓子、お花などを毎日のようにいただきますし、史上最多の投票をいただきました。改めてファンの多い馬なんだなと感じています。感謝しかありませんし、私にとっても一生心に残る馬です。 これが、ドウデュースにとって最後のレースとなります。もうひとつ大きな勲章を取らせてあげたいと思っていますので、応援していただけるとうれしいです。(おわり)