ベトナムでも闇バイト横行、タイでは90日ごとに出頭 世界の入管が不法滞在対策など議論
新型コロナウイルス禍を機に始まった世界各国の入国管理当局者が東京都内に集う国際会議「東京イミグレーション・フォーラム」の第4回会合が11日、幕を閉じた。9日から始まった会合では米国やシンガポールなど20カ国・地域と2つの国際機関が一堂に会し、入管政策を共有。不法滞在外国人が犯罪に加担している実態など、各国共通の課題も浮かび上がった。 ■高給で簡単な仕事 闇バイトが横行しているのは、日本だけではない-。 フォーラム初日の9日、会場となった東京プリンスホテル(港区)に各国の入管関係者ら約100人が出席する中で、意外な国情を報告したのは、ベトナムの入管当局者だった。 外国人の入国者数が近年、大きく伸びているという同国。同国も加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)では、正規の移民だけではなく、不法移民の数も増えているという。 「高給で簡単な仕事」などという誘い文句でだまし、サイバー空間での詐欺などに従事させる日本の闇バイトのような犯罪も横行しており、そうした犯罪に不法移民が加担していると明かした。 タイの担当者は不法残留防止のため、入国時だけでなく、滞在中も審査する仕組みを紹介した。 審査では指紋などの生体認証システムを利用。国内に90日以上留まる場合は、90日ごとに入管当局への出頭を求めているとした。 一方、労働力確保の観点から外国人受け入れを進めてきた韓国の担当者は「外国人も韓国の社会の一部であるという見方に変わった」と意識の変化を説明。社会的な摩擦を減らすため、文化交流などにも力を入れ始めたと説明した。 ■「対話継続が重要」 最初のフォーラムが開かれたのは令和4年。当時、コロナ禍の余波が続く中、外国人受け入れの再開方法を巡り、各国の政策に大きく隔たりがあった。そこで当局者が集まり、政策だけでなく、受け入れている外国人の割合や性質、受け入れに伴う問題に至るまで、情報共有・意見交換が図られた。 不法入国の巧妙化や、対処するデジタル技術の発達など、共通する課題や手法も幅広いことへの認識も深まり、コロナ禍後も開催が継続されてきた。今や、入管当局者が集まる国際会議としては世界最大の規模だという。