太陽系の「縁」には何が?高速探査機「ニュー・ホライズンズ」冥王星接近へ
7月に入ってから撮影された画像は、さらに解像度が上がっています。こうした一つ一つがニュースであり、まさに今、未知の世界が明らかになりつつあるのです。 最接近時には6月18日より約25倍も近い12500km(ちょうど地球の直径くらい)まで冥王星に近づくニュー・ホライズンズ。より詳細な冥王星の素顔を私たちに見せるばかりでなく、全く思いもよらなかった新発見をしてくれるかもしれません。
冥王星は、新しいグループ「準惑星」の代表
ところで、みなさんの中には太陽系の惑星を「水、金、地、火、木、土、天、海、冥」と憶えた方も多いのではないでしょうか。1930年に発見された冥王星はかつて、私たちの地球と同じ「惑星」の仲間でした。ところがニュー・ホライズンズ打ち上げ後の2006年8月、惑星の定義が見直されるとともに、「準惑星」という分類が新設され、冥王星もこちらに属することになりました。 大きな理由のひとつとして、冥王星クラスの大きさで太陽系の遠方を回る天体が1990年代以降、相次いで発見されたことが挙げられます。新天体が見つかるごとに惑星を増やしていったのでは、キリがありません(憶えるのも大変になっちゃいますよね)。
とは言え、「冥王星は惑星から外された」と思うと少しさみしいもの。ここは「冥王星を代表格とする新たなグループが確立された」と考えると、天文学の新時代を感じられるのではないでしょうか。観測技術が進歩し、太陽系の姿がより詳しく分かってきたからこそ、なのです。 「最後の惑星」に向かったはずだったニュー・ホライズンズは、「準惑星」という天体に初めて、接近することになりました。得られるデータは冥王星だけでなく、太陽系の彼方にどんな世界が広がっているのかをさぐる大きなヒントとなるはずです。
旅は続く。太陽系の果てへ
そして、ニュー・ホライズンズの旅は冥王星で終わりではありません。というよりも、超高速で飛んだまま、冥王星の脇は通過してしまいます。もちろん9年もかけて行ったわけですから、通過前後はさまざまな計器をフル稼働して冥王星や衛星カロンの大気、質量、密度などを調べます。が、旅には続きがあるのです。