恋愛は「タイパが悪いもの」? 男女×価値観で読み解く、令和の若者たちの「恋愛・結婚」に対する考え方の違い
いわゆる“若者の恋愛離れ”が叫ばれて久しい昨今。厚生労働省の発表によると、2023年の婚姻数は前年比で約3万件以上減少し(48万9281組)、戦後初めて50万組を下回りました。その一方、こども家庭庁の調査では、既婚者(40歳未満)の出会いのきっかけはマッチングアプリが最も多くを占める(25%)など、出会いの在り方が大きく変化しています。 【画像】「人前でイチャイチャ」抵抗あるorない?→これが男女間でくっきり出た“温度差”です…!(怖) 令和の若者は恋愛に何を求め、結婚に何を期待しているのか――。恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」のリサーチディレクター・工藤彩乃さんに「若者の恋愛観・結婚観」について聞きました。
恋愛離れの理由は“タイパ”?
Q.“若者の恋愛離れ”は、実際に進んでいるといえるのでしょうか。 工藤さん「“若者の恋愛離れ”とよく言われていますが、『恋愛がしづらい環境になってしまった』というのが実態だと思います。交際意向や異性との関係性について、恋愛マッチングサイト・アプリを運営するアメリカの企業・Match Group(マッチ・グループ)が2022年、18~34歳の独身者(交際相手なし)を対象に調査したところ、実際には7割以上が『異性との何らかの関係性を望んでいる』と回答しました。 国の機関による調査(国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」)でも、18~34歳の未婚者の約8割は『いずれ結婚したい』と答えており、若者の交際意向・結婚意向はそれなりに高く、若者も『恋愛したい』と思っていることがうかがえます」 Q.「恋愛がしづらい環境」とは、具体的にどのような状況なのでしょうか。 工藤さん「経済的な課題が大きいです。子どもにとって親は一つのロールモデルですが、その親が歩んできた、告白からの交際、指輪を買って結婚式、家を買って妊娠・出産……といった、いわゆる“普通の結婚”は、手が届きにくい現実と捉えています。 不景気や物価上昇、据え置きのままの賃金といった社会情勢が、“普通の結婚”ですら高額な費用がかかる現実を目の当たりにし、『結婚』、そしてその手前にある『恋愛』というフェーズに足を踏み入れることができない実情があると考えています」 Q.では、そのような状況下で、若者はどのような恋愛を求めているのでしょうか。 工藤さん「スマホアプリで世界が完結する、といっても過言ではない現代では、やはりタイパ(タイム・パフォーマンス)が強く求められています。見たい動画、聞きたい音楽、買いたい服にワンタップで手が届く時代に、恋愛は過程も複雑で、しかも、必ずしも欲しいもの(恋人)が、手に入るとは限りません。その点において、『恋愛=タイパの悪いもの』として捉えられている可能性があります。 また、一昔前には、彼氏・彼女の存在が一種のステータスでもあり、『現時点では好きではないが、とりあえず付き合ってみる』という考え方もあったかと思います。タイパ重視の今は、そこまで好きでもない人に“とりあえず”時間を割くことなんて考えられず、『この人となら(一緒に時間を過ごしたい)、と思える人と付き合いたい』と思う若者が多く、また同時に『そこまでの人と出会うのは大変』とハードルを感じ、恋愛に足を踏み入れる手前で躊躇(ちゅうちょ)しているのです」