恋愛は「タイパが悪いもの」? 男女×価値観で読み解く、令和の若者たちの「恋愛・結婚」に対する考え方の違い
人生設計に関わる「男女の意識の違い」
Q.若者は、恋愛や結婚において「価値観を重視している」とのことですが、男女による違いもあるのでしょうか。 工藤さん「はい。ペアーズには、金銭感覚や家族観など、プロフィールに書きにくい本音の価値観を非公開のまま回答でき、その価値観にあったお相手をペアーズが提案する『本音マッチ』という機能があります。その機能を利用したユーザーが実際に選んだ本音の価値観を、男女別に集計した結果、日常生活の価値観から、結婚や将来にも関わる中長期の価値観まで、男女で少なからず価値観のズレが生じていることが分かりました。 日常のちょっとした価値観のズレは見逃しがちですが、ささいなすれ違いが積み重なると、ボディーブローのように効いてきます。例えば、『日常的にランチに1000円以上払えるか』という金銭感覚に関する価値観の場合、『あり』と『なし』の回答が、男女ともに50%前後で二分しています。2人に1人は、異なる回答を選んだお相手と出会う可能性があるため、日常のささいな見解の違いといえども、事前に相手を理解していた方がお互いに疲弊しないといえるでしょう」 Q.結婚にも影響する、重要な価値観とは。 工藤さん「将来を考える上で避けては通れない『家族との距離感』も、女性の社会進出が当たり前の現代では、重要な価値観であるといえます。 ペアーズユーザーのデータでは実際に、相手の家族との関係性について、男性の6割以上が『親密な関係性』を望んでいる一方、6割の女性は『ある程度の距離を置きたい』と回答しています。データではなく定性的な消費者インタビューにおいても、女性も家にいない現代では、家事や家族イベントは作業できる人が対応する“ギブアンドテイク”な夫婦関係を築きたいという考え方が広まっていると感じています。その考えが、夫の両親にも対等な関係を求める女性のマインドにも強く影響しています。 また同様に、『子どもの有無』についても男女間で認識の差が生じています。ペアーズユーザーのデータでは、『子どもはいなくても楽しい』と回答した男性が22%いるのに対し、女性はさらに高く、32%にも上ります。 実際に出産を経験する女性は、男性よりも若いうちからライフステージについて考える傾向があり、子どもがいる人生・いない人生を、リアリティーをもって意識しています。就職するタイミングから結婚や出産を見据え、就職先を検討する女性も少なくありません。 一方で男性は、結婚や子どもが自分ごとになってから、あるいは身近になってからようやく意識する傾向が強く、20代の早いうちから家族やライフステージを意識する人はそれほど多くありません。こうした男女の意識の違いが、人生設計に関わる価値観の回答の差に表れていると思います」