明日再開J2…13年ぶりJ1昇格狙う東京ヴェルディが期待する大久保嘉人効果とは?
ヴェルディにはアカデミー出身のホープたちが多い。20歳にしてキャプテンを務める藤本は小学生年代のジュニアからの生え抜きであり、今シーズンは藤田を含めた5人がユースから昇格した。この日にミーティングを開催した永井監督は、若手に対して「ベテランや経験者と呼ばれる選手たちの背中を見てくれ」と、シーズンを戦いながら成長していくための指針を伝えている。 「自分も長くこの世界でやらせてもらっていて、若手だけで勝てるほど甘い世界ではないことはわかっています。なので、ベテランや経験のある選手にチームを引っ張っていってほしいのはもちろんですけど、若手もいいお手本を見ながら、しかも(ベテランや経験のある選手を)しっかりと理解しながら、シーズンを通してどこまでも成長していってほしいと思っています」 そして、ベテランであり、日本代表時代を含めて濃密な経験をももっている選手が大久保となる。必要ならば忌憚なき意見や苦言を、ためらうことなく周囲にぶつけていく大久保のまっすぐな立ち居振る舞いは、卓越した技術をもつ若手選手たちに強い心を、ピンチでなにくそと自らを奮い立たせる反骨心を、そしてリスクを冒していく勇気を融合させていく上でまたとない生きた教材となる。 例えばヴォルティス戦で、大久保とともにインサイドハーフとして先発フル出場。豊富な運動量とパスさばき、ボール奪取術に長けた藤田は、すでに大久保から檄を飛ばされたと明かす。 「嘉人さんからは『もっと前を意識しろ』と言われています。J1の舞台で戦ってきた先輩たちに教えられながらプレーしていて、僕自身、吸収することはたくさんあると思っています」 開幕戦で大敗を喫したヴェルディは、ザスパクサツ群馬と並ぶ最下位で再開を迎える。4カ月あまりのブランクをへてのリセットへ、苦笑しながら「強がっているわけではないけど、まだまだこれからなので」と前を見すえた永井監督にとって、ヴェルディをゴールへの貪欲な思いでけん引し、真っ赤な闘争心で内側からも変えていく大久保は、名門復活へ向けて心強い存在となるはずだ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)