【ボート】S力武器の森悠稀がブレークへ勝負の一年 後輩の広島・矢野に負けじと“育英魂”胸に戦う
「ボート記者コラム・仕事 賭け事 独り言」 全国屈指のスタート力を武器に壁をぶち破れ-。森悠稀(32)=兵庫・118期・A2=は、今年からA2級再昇格を果たし、勢いに乗っている存在。兵庫の古豪・育英出身の元高校球児で、昨年大ブレークした“後輩”に負けじと、自身初の勝率6点台を目指して奮起する。 類いまれなるセンスが光る。直近6カ月の平均ST(スタートタイミング)は0・12。平均S順位は2・4位をマーク。これは全選手の中でもトップクラスに位置する数字だ。S力について森は「自信はあります」と話す。「周り(の選手)を見ず、自分の勘を大事にする。起こす位置など、手前の部分を意識しています」とポイントを挙げた。 2024年12月末のびわこ一般戦で痛恨のF(フライング)を切るも、本人の表情から悲観の色は見て取れない。「めちゃくちゃ速いのは行けなくなりましたが、1本持ちでもしっかり行けるように」と、自らを縛る“かせ”に対応していく構え。当然、目標とする勝率6点超えに向けて影響は小さくないが、これも勝負の結果。どんなS巧者であってもミスは起こり得る。しっかりと反省し、次につなげることが重要だ。 級別審査期間は残り4カ月で、現在の勝率6・08(5日時点)と「6点の壁」をクリアできる可能性は十分にある。これまで味わった悔しい経験を生かし、「もし6着を取っても焦らない。次のレースで取り返してやろうという気持ちで」と冷静さを失わず、節間トータルでの活躍に目を向けていく。目標を達成できれば、おのずとA1級昇格も近づいてきそうだ。 高校時代は強豪校で白球を追いかけた。兵庫・育英では俊敏かつ堅実な守備を誇った二塁手。広島の矢野雅哉内野手(26)は6学年下の後輩にあたる。在籍期間がかぶっておらず特別に意識をすることはないが、大ブレークを果たした後輩に負けじとボート界で“育英魂”を胸に戦う。真価が問われる2025年。森が気迫の走りで結果を追い求めていく。(関西ボート担当・山本航己)