女性のゆらぎに機能性とデザイン性を アツギが開発「気持ちが上がるインナーを」
生地を何種類も編んで比較
――開発の途中で苦労したことはありましたか。 温度調節の機能を持つマイクロカプセルが練り込まれた特殊な生地を使っていますが、綿や、レーヨンといった繊維の比率を少しずつ変えたり、さまざまなメーカーの糸を試したりして、生地を何種類も編み立ててもらって、比較する作業に最も時間がかかりました。 部内に40代前後の女性が多いので、みんなで試着しながら方向性を考えました。「いろいろな人が使いやすいのはシンプルなものだろう」と、一時はシンプルなデザインで企画を決定しようとしたんですが、「でも、あれだけデザイン性を求められたんだから、こだわらなきゃいけないんじゃない?」という話になって、もう一回デザインをやり直したこともありました。機能、生地、デザインにそれぞれこだわって、何種類もの試作品を作って、みんなで着てみて、アイテムを絞り込んでいったんです。 ――マイクロカプセルとは、どんなものですか。 糸に練り込まれたとても小さな球体の物質で、熱を吸収し、放出する特殊な成分を含んでいます。気温の変化に伴って固まったり溶けたりを繰り返すことで、衣服内の急激な温度変化を和らげる働きがあります。冬に暖かい場所から寒い屋外に出るとマイクロカプセルが熱を放出し、夏に冷房の効いた部屋から暑いところに出るとマイクロカプセルが熱を吸収します。通常は温度が変わるとインナーの中もすぐに暑くなったり寒くなったりするんですけど、それがゆるやかに抑えられるイメージです。 このマイクロカプセルを使いつつ、天然系で肌触りのいい素材にこだわりました。汗取りパッドやショーツのマチには銀イオンを含む糸を編み込んだので、ちょっとキラキラして見えます。銀自体に抗菌防臭の効果があるので、その機能性を生地に付加した形になります。 ――「yuragini」を黒とベージュ、青っぽいグレーの3色にされたのは、なぜですか。 使いやすい黒と、透けにくいベージュ系の色は外せないので、もう一つはデザイン性のある素敵な色を入れようということで、いろいろな人の意見を聞いて議論しました。白っぽい色も候補にありましたが、「インナーで着てもパンツでははかない色だね」という指摘もあって、最終的に今の3色になりました。透けにくい、という点では、肌とのコントラストが強いもの、たとえば白は圧倒的に強いので透けやすくて、一般的には肌の色よりも少し濃い色の方が、差がわかりにくくて透けにくいですね。