元衆院議員・金子恵美、いま改めて考える“公用車ベビーカー”問題。女性議員増やすための「クオータ制」なぜ必要か?
飾らない語り口で支持を集めるテレビコメンテーターで元衆議院議員の金子恵美さん。38歳直前で長男を出産後、2カ月で国会に復帰。総務大臣政務官に抜擢され育児と公務に奮闘していた2017年、公用車で息子を保育所に送迎したことが週刊誌で報じられ、“公用車ベビーカー問題”として批判を浴びました。今回は、当時を振り返りつつ、日本における女性議員の少なさやジェンダー・ギャップ指数の低さ、子育て中の女性の働きやすさについての考えをお聞きしました。 【画像】金子恵美、いま改めて考える“公用車ベビーカー”問題。育児中の女性の働きやすさを実現させるには?
公用車は「政治家の特権の象徴」? ルール上問題なかったが……
長男出産から半年で総務大臣政務官に就任した私は、初めての子育てと公務に忙しくも充実した日々を送っていました。そんな矢先の2017年、週刊誌報道をきっかけに批判を浴びたのが、いわゆる“公用車ベビーカー問題”でした。 当時私は、事務所のある永田町の議員会館内の保育所に息子を通わせていました。そして、赤坂の議員宿舎から公用車で公務に向かう途中、息子を乗せて保育所に送ったところを週刊誌に撮られ、「公用車の私的使用疑惑」と報じられました。 そもそも公用車は、大臣・副大臣・政務官の政務三役などが公務のために利用します。過密なスケジュールのなかで、時間的な効率性はもちろん、移動中も機密漏洩を防ぎながら秘書官と打ち合わせができるといった利便性もありました。 普段は基本的に、夫の宮崎(謙介・元衆議院議員)や、子育てを手伝うために新潟から上京してくれた私の母が、車やベビーカーで息子を送迎していました。私が送る日は、議員宿舎から歩いて15分ほどベビーカーを押していくこともありましたが、公務に向かう途中に公用車で寄るほうが合理的と判断して乗せていくこともありました。公務に行く途中で保育園などに立ち寄ることは、総務省のルール上も問題ないことは確認していました。 ただ、当時は東京都知事が公用車で繰り返し別荘に行っていたことが問題になった後。公用車というものが、政治家の特権の象徴的な存在になっていて、なぜ公用車に乗るかという議論より、乗ること自体が問題視される風潮があったと思います。さらに、夫の女性問題が報じられた後だったこともあって、我々夫婦は批判の対象にしやすかったのだとも思います。 公用車から子どもを降ろしてベビーカーに乗せているところを切り取った1枚の写真だけを見たら、「自分たちは大変な思いをして自転車で送迎しているのに、政治家は公用車で楽なもんだ」と思われた方もいたかもしれません。ルール上問題ないと説明しましたが、イメージは払拭できないまま、どんどん大きな問題に膨らんでしまいました。