マツダ[ルーチェ]の怪! 広島ベンツは本家を超えたのか 当時の評価はいかに?
世はバブル経済が到来しようとしていた1980年代序盤、マツダはハイソカーブームの波に乗り、5代目ルーチェを登場させた。写真を見た途端、誰もがベンツSクラスかと思ったほど似ていたので、「広島ベンツ」などと揶揄された。あれから40年あまり、ルーチェはベンツを超えていたのか、調べてみた。 【画像ギャラリー】広島ベンツといわれたマツダルーチェの写真をチェック!(7枚) 文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、マツダ
■ロータリーエンジンも搭載していた高級サルーン、5代目ルーチェ
時は、まさにハイソカーブーム、あと数年で好景気に沸くバブル経済がやってこようとする、1986年9月、1984年に車名を東洋工業から社名を変えたマツダが1台の高級サルーンを発売した。 5代目ルーチェの写真を見た途端、「ベンツのコピーじゃないか」と誰もが口にするほど、そっくりだった。ルーチェハードトップはグリル回り、ボンネットマスコット、ボディサイドの樹脂パネルなど、W126型メルセデスベンツSクラスに似ていた。 新設計のHCプラットフォームに高剛性のボディを組み合わせたスーパーモノコックボディを採用し、4ドアハードトップとオーソドックスなセダンを用意した。 ボディサイズはハードトップが全長4690×全幅1695×全高1395mm、セダンが全長4690×全幅1695×全高1425mm。 インテリアは高級サルーンに相応しく質感が高く、シートも特に最上級グレードのロイヤルクラシックの豪華絢爛。後席スペースも広大で、トランクはゴルフバッグ5つ入るほど(403L)が余裕があった。 装備面でもフラッグシップモデルらしく、スイングピローを配したパワー調整機構付きセパレート式リアシートやオートライトシステム、電子メーター、フルオートデュアルエアコンなど、先進装備を満載していた。 搭載されるエンジンは、2L、直4(82馬力)がSG-X、2L、V6(110馬力)がXV-Xおよびリミテッド、2L、V6ターボ(145馬力)がリミテッドおよびロイヤルクラシック。1987年8月には3L、V6が追加となった。 また、4ドアハードトップのみ654cc×2ロータリーターボ(180馬力)がリミテッドおよびロイヤルクラシックにラインナップされた。ちなみにマツダのセダンに搭載されたロータリーエンジン車はこれが最後となった。 では、1980年代後半、このルーチェはどのように評価されていたのだろうか?残念ながら評価は低いまま、センティアの登場に伴い、1991年12月生産終了(教習車、タクシー用4ドアセダンは1995年12月終了)となり、29年あまり続いたルーチェの名もここで消えることとなる。