マツダ[ルーチェ]の怪! 広島ベンツは本家を超えたのか 当時の評価はいかに?
■見た目はベンツ、走りは本家ベンツを超えていたのか、当時の記事を振り返る!
5代目ルーチェが発売された1986年9月。当時のベストカーはどう評価していたのか?タイトルは「限りなくメルセデス、限りなくヨーロピアン」。1986年11月10日号に掲載された自動車評論家徳大寺有恒氏の試乗記事をお伝えしよう。 ルーチェは全長4690mm×全幅1695mmというサイズを持ちながら3ナンバーなしという構成で登場した。ホイールベース2710mmという堂々たるサイズを持ちながら3ナンパーを持たないのだ。 新型のV6は国内用の2Lでナチュラルアスピレーション(NA=自然吸気)とターボの2種、110馬力と145馬力だが、一般的には110馬力で充分。このクラスでもスポーティに走りたい向きにはターボとなろう。でもやはり3LのNAがほしいところだ(翌年3L、V6追加)。 ラインナップに加わるロータリーエンジンは絶対的パワーでは勝るし、スムーズでもある。しかし、私はこのクルマにはV6を選ぶだろう。 ルーチェのリアサスベンションはE型マルチリンク、RX-7以来、サスペンションのリンクの取り回しに凝るマツダらしいレイアウトだ。このリアサスペンションあっての後輪駆動だろう。 そして、このルーチェのハンドリングはご本家というべき西ドイツ車以上に硬派なしっかりしたものだった。むろん、安定サイドに調整してあるから、直進安定性、高速コーナーを得意としている。ビシッとした直進性、しっかりした耐ロール性、この2つでこのルーチェはアウトパーンを200km/hで走るBMWやメルセデス風の味なのだ。 乗り心地はとてもよいと思う。むろん低速の大きなウネリにも強いが、中速くらいの道の荒れによる振動の処理がうまい。よくいわれるように高級車はNVHが低くなければいけないとされているが、このルーチェはその点では立派である。ロードノイズ、風切り音、そしてエンジンのノイズ、振動すべてにわたって低いレベルにある。 さて、そのスタイルである。こいつは評価が分かれよう。いわゆるメルセデスルックである、それも新しい190EやミッドサイズでなくSクラスをテーマにしている。特にハードトップのほうはルーフラインがまったくSクラスに似ており、そのうえリアガラスがそっくりだ。 セダンのほうも似ていないことはないけど、はるかに独自のスタイルをしている。ブレスドアで、全高が1420mmと高く、しっかりとしたサルーンを感じさせる。ちなみにこのルーチェも外国へ輸出されるが、それはこのセダンのほうなのである。 内装はマツダの悪しき流儀でとにかくもう一歩、二歩である。こいつはアメ車だと思う。内装はBMWをマネしてほしかった。私にいわせてもらえばメルセデスの内装はメルセデスベンツだから許されるのだと思う 西ドイツ車(当時は東西に分かれていた)のような、走りがこのクラス最大のポイントである。その謳い文句通り、ボディ剛性は高く、ハンドルのしっかり感はメルセデスのようだ。 レジェンドといい、このルーチェといい、"走り"をこのクラスに持ち込んだことは大いに評価されていいと思う。 さて、当時の評価はいかがだったでしょうか?意外や意外、ルーチェの走りはボディ剛性感が高く、乗り心地もいいと思いのほか高評価だった。 ■ルーチェ4ドアハードトップV6リミテッド 全長4690×全幅1695×全高11395mm ホイールベース:2710mm 車両重量:1440 エンジン:1997、V6 最高出力:145ps/5000rpm 最大トルク:23.5kgm/2500rpm 10モード燃費:8.2/L 東京地区標準現金価格:261.5万円