赤旗2回の大波乱! なんと最後尾スタートのエバンスが大逆転勝利を手に。新シーズンのアタックモードは超強力|フォーミュラEサンパウロE-Prix
フォーミュラEの第11シーズン(2024-2025)開幕戦サンパウロE-Prixが行なわれ、ジャガーのミッチ・エバンスが優勝した。 【リザルト】フォーミュラE開幕戦サンパウロE-Prix順位結果 フォーミュラEは毎シーズン年またぎで行なわれるのが通例となっている。この第11シーズンも同様であり、開幕戦サンパウロE-Prixが12月7日。第2戦は2025年になってからの開催である。 この新シーズンに向けては、チームを移籍したドライバーがいたり、パワートレインや名称の変更があったチームも少なくなかった。また車両もGEN3 Evoになり、アタックモード起動時には、フロントアクスルに搭載されたモーターも稼働させて四輪駆動となるよう、スペックが一新された。 なお日本勢としては、日産だけでなくヤマハがアプト/ローラと組んで参戦することにも注目が集まった。 スタート直前にはロビン・フラインス(エンヴィジョン)がブレーキシステムのトラブルに見舞われ、ピットレーンに押し戻されるシーンもあった。 決勝でホールショットを奪ったのは、日産のオリバー・ローランド。2番グリッドから鋭い加速を見せ、ポールポジションのパスカル・ウェーレイン(ポルシェ)を下して首位に立った。 3周目にジェイク・ヒューズ(マセラティ)とニコ・ミュラー(アンドレッティ)が接触し、コンクリートウォールに接触。その場でストップしてしまったことで、セーフティカー出動となった。 6周目からレース再開。すると早速アタックモードを起動させるドライバーも複数いいた。 そんな中、ローラ/ヤマハ・アプトのルーカス・ディ・グラッシがクラッシュ。マシンにダメージを負い、ピットに戻ることを余儀なくされた。 新しいアタックモードの威力は抜群。アタックモードを起動させたニック・キャシディ(ジャガー)は9番手にいたが、1周前後の間に前を行くマシンをオーバーテイクし、一気に首位に浮上したのだ。これを見たライバルも、次々にアタックモードを起動することになった。 キャシディのアタックモードが切れると、今後は日産のノーマン・ナトーがオーバーテイクショーを演じて首位に浮上。ただそのナトーには、オーバーパワー違反があったとして、ドライブスルーペナルティが科された。ナトーが首位を走ったのは、ほんの一瞬だった。 この他、サム・バードとテイラー・バーナードのマクラーレン勢2台も、オーバーパワーでドライブスルーを科された。 ローランドはアタックモードを起動した時にポジションを落とすも、すぐに先頭に復帰。その後、後続を大きく引き離すことに成功した。ただ、アタックモードが切れると、アタックモード起動中に他のマシンにすぐに抜かれてしまう……それだけアタックモードの効果は絶大であり目まぐるしく順位が変わる、そんな状況が繰り返されていった。 20周目、ジェイク・デニス(アンドレッティ)がターン1でストップしたことで赤旗が掲出され、レースは一時中断となった。これで痛かったのは、アタックモード起動中だった面々。赤旗中断中にも、アタックモードの起動時間(2回合計で8分)は無情にも減っていくこととなり、いずれのマシンもピットレーンに停車中にアタックモード時間がゼロとなった。 30分ほどの赤旗中断期間を経て、レース再開。赤旗が掲出された周に先頭に立ったとして、ローランドがひとつポジションを下げられ、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)が先頭でスターティングスタートが切られた。 ローランドは今回も抜群のスタートを決めて首位に浮上。マキシミリアン・ギュンター(DSペンスキー)が2番手に上がった。 24周目、キャシディが残っていたオーバーテイクモードを起動させ、前を行くマシンを次々に追いかけ、攻略していった。ただローランドを攻略するわけにはいかなかった……が、しかし、首位ローランドにもオーバーパワー違反でドライブスルーペナルティが科されることとなり、最後尾付近まで順位を落とした。 これでキャシディが先頭、そしてスルスルと順位を上げてきたミッチ・エバンスが2番手となり、ジャガー勢が1-2体制を形成。そのままフィニッシュするかと思われた。しかしギュンターらがここに分け入ってきた。 そんな鍔迫り合いの中、各所で接触が起き、ギュンターはウォールにぶつかってしまう。そしてその直後だった。ウェーレインのマシンが、キャシディのマシンと接触したことがきっかけとなり、フロアを上にするような形で横転してしまったのだ。これでこのレース2回目の赤旗中断が宣言された。 激しい事故だったが、ウェーレインは自身の無事を無線で報告。しばらくの間上下逆さまの状態でコクピットに閉じ込められていたが、コースマーシャルに助け出された。 再び30分ほどの中断を経て、残り4周でレース再開。今回ばかりは、ローリングスタートとなった。エバンスが逃げ、ダ・コスタがそれを追うという展開である。 エバンスのエネルギー残量は心許なかったが、なんとかそれをマネジメント。ダ・コスタを抑え切ることに成功し、そのままトップチェッカーを受けた。 エバンスは実は今回、最後尾グリッドからのスタート。そこから全車を攻略し、思いもよらぬ形でトップチェッカーを受けた。2位にはダ・コスタ。3位にはマクラーレンのテイラー・バーナードが入った。
田中健一