韓国「尊厳死」を求める憲法訴訟…自己決定権と家族の幸福追求権が争点に
【09月12日 KOREA WAVE】韓国で「尊厳死」制度をめぐる議論が再燃している。特定の病気を抱える患者が「自ら命を終える自己決定権を認めてほしい」として、尊厳死に関する立法が不在であることに対する憲法訴訟を提起した。憲法裁判所は、韓国で尊厳死が法制化されていないことに対する判断を迫られている。 この事件は、2020年に突然脊髄炎と診断されたイ・ミョンシクさんとその娘が提起したものだ。イさんは強い痛みと下半身麻痺に苦しみ、スイスの非営利団体「ディグニタス(DIGNITAS)」に登録し、助けを借りて尊厳死を選ぶことを検討した。しかし、スイスに行く際、同行者である娘が「自殺幇助罪」で処罰される可能性があることがわかり、韓国での尊厳死法制化を求めて憲法訴訟を提起した。 訴訟の争点は、刑法第252条第2項「嘱託殺人罪」および「自殺幇助罪」であり、これらの条項がイさんの自己決定権や家族の幸福追求権を侵害していると主張している。イさん側は「耐え難い苦痛を終わらせる唯一の手段が死である場合には、例外的に尊厳死を認めるべきだ」と訴えている。 しかし、医療界や宗教界からは反対意見も根強い。医療界は、まずホスピスやケア体制を拡充することが優先であるとし、安楽死の議論に先んじて患者の生活の質を改善する支援策が必要だと主張している。また、宗教界は、生命の保護が最優先であり、尊厳死が経済的理由での自殺を助長する可能性を懸念している。 憲法裁判所の最終判断には1~2年かかる見込みで、社会的合意が必要な重要な問題として議論が続くと見られている。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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