「なんて俺は不幸なんだろう」と嘆いた40代無職独身男性が4児の父になるまで~「45歳で交際0日婚」「54歳で第4子誕生」を経験した激動の10年~
40代で取締役に就任。会社を引っ張っていく立場になり、結婚を考える余裕もないほど多忙を極めた。 「心のどこかで『結婚したい』と思っていたかもしれないけど、一生独身でいることも意識していました」 しかし45歳のとき母が倒れ、介護が必要な状態となる。後藤さんは介護に集中するため、会社からの慰留を固辞し退職を決断。1年の在宅介護の後、母は施設に入所したが程なくして他界した。 独りになった後藤さんは「なんて俺は不幸なんだろう」と感じることもあったという。
■「相談相手」が「結婚相手」に しかしその時期、前職での部下だった現在の妻と突然、交際0日で結婚することになった。 「もともと在職中から彼女の相談にはよく乗っていました。でも、お互い恋愛対象としては見ていなかった。妻からも『当時はこんなおっさんはありえないと思ってた』と、いまだに言われます(笑)」 退職後も相談に乗る関係は続いた。あるとき、お互いに「この人と一緒にいるときが一番楽しい」と感じている自分に気づき、その場で結婚を決めたそうだ。
「正直なところ、家で母を介護していたら結婚はできなかったと思う。母が亡くなったあとのタイミングだったから、私も妻も決断できた。 今思えば、母は身をもって私を結婚に導いてくれたのかもしれない。できれば孫の顔を見せてあげたかったですけどね」 当時は妻も大手進学塾を離職し、無職だった。 「婚姻届を出すとき、市役所の方に『おふたりとも本当に無職なんですか?』と2回確認されました。私も介護離職して、妻も仕事を辞めた直後だったので」
妻の両親と後藤さんは同世代。結婚はスムーズに了承されたのだろうか。 「それが一番心配でした。でも、意外とあっさり『娘が好きになったんならいいよ』と言ってくれて。義母は普段から『よく相談に乗ってくれる上司がいる』と妻から聞いていて、すでに信頼されていたようです。ただ、さすがに義父は最初『うーん』となったそうですが……最終的には、義母が『あの子が好きになった人なんだから黙ってなさい』と説得したそうです」