【高校野球】木製バットで価値ある一発 プロ注目の早実・宇野真仁朗が今夏1号
見ごたえのある力勝負
【第106回全国高校野球選手権西東京大会】 7月20日 スリーボンドスタジアム八王子 ▽準々決勝 早実6-1日本学園 (9回表無死一塁。雷雨のため継続試合) 【選手データ】宇野真仁朗 プロフィール・寸評 ついに出た。 早実のプロ注目スラッガー・宇野真仁朗(3年)が今夏の第1号本塁打を放った。 日本学園高との5回戦。5対1の8回裏、二死走者なしから打球は場外へと消える左越えソロは高校通算63号。日本学園高のドラフト候補の190センチ右腕・古川遼(3年)が投じた、この日最速の143キロストレートを叩いた。見ごたえのある力勝負で、宇野が手にしていたのは木製バットであるから、その価値も高まる。 この試合は、6対1と早実リードで迎えた9回表、日本学園高の攻撃、無死一塁で、雷雨のため中断。天候の回復が見込めず、試合続行は難しくなり、継続試合となった。 宇野は苦しんでいた。初戦となった3回戦、4回戦はいずれも5打数無安打。伝統校・早実のキャプテンの重圧は本人にしか分からない。5回戦の第4打席で、今大会初安打が貴重な追加点となる左前適時打。一塁ベースでは平静を装っていたが、心の中ではガッツポーズを見せていたはず。気持ちも楽になった。チームリーダーは一喜一憂しない。2024年のチームスローガンは「頂戦 この一瞬にすべてを懸ける」を体現。また父、兄2人が野球人であり、そのあたりの所作を心得ている。 本塁打をかっ飛ばしても、何事もなかったようにベース一周した。以前、取材した際には「自分は、表に立つタイプではありません。むしろ、背中で見せるほうかもしれません」と語っていた。まさしく、プレーでチームをけん引。もう、恐れるものはない。練習量は誰にも負けない。大会前にあった試験勉強も、寝る間を惜しんで真剣に向き合う、文武両道の模範生である。責任と自覚。早実の背番号5は、独特のオーラを醸し出している。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール