仏大統領選の有力候補に浮上した39歳 マクロン前経済相とは何者か?
先月のオランダ下院選挙に続き、今月23日にはフランスで大統領選挙が行われる。1回目の投票で過半数を獲得する候補者が出なかった場合は、上位2名の候補者で決選投票をするフランス大統領選。1965年以降、1回目で決まったことはないが、11人が立候補した今年の選挙でも、5月7日の決選投票まで新大統領が選ばれることはないという見方が強い。これまでは移民排斥を唱える極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首の優勢が伝えられてきたが、ここにきて前経済相のエマニュエル・マクロン氏が決選投票を制して大統領に当選する可能性が浮上。この数週間で一躍フランス大統領選の主役となったマクロン氏とは、いったいどんな人物なのか? 【写真】オランダ下院選で自由党伸びず 「反ポピュリズム」は本当に勝ったのか?
フィヨン氏「自滅」 ルペン氏との一騎打ちか
パリ・マッチ誌が3月31日に行った世論調査では、マクロン氏が26%で、大統領選挙の立候補者の中では最も高い支持率を得たが、2位につけたルペン候補も25%の支持率をキープしており、フランス大統領選はマクロン、ルペン両候補の一騎打ちとなる公算が日増しに高くなっている。現時点で両者の支持率は拮抗しているが、上位2名による決選投票では、1回目の投票で他の候補者に流れていた票の多くをマクロン氏が獲得するとみられており、結果的にマクロン氏が圧勝するのではないかという予測まで出ているほどだ。 トランプ氏がアメリカ大統領選を勝ち抜いたことを受け、フランス大統領選でも、反イスラム・反EUの姿勢を前面に打ち出したポピュリストのルペン候補に注目が集まってきた。
昨年末の段階では当選の可能性が最も高いと考えられたフランソワ・フィヨン元首相は、移民の制限やロシアとの関係改善を主張する点で政策的にルペン候補との類似点が指摘されていたが、サルコジ政権で首相を務めた知名度は選挙戦の序盤で大きな武器となった。しかし今年1月、フィヨン氏が妻や子供たちに、勤務実態がないにもかかわらず給与を支払っていた疑惑が浮上し、それらに公的資金が使われていた可能性が取りざたされると、フィヨン氏の支持率は急降下。現在は17%前後で、マクロン、ルペン両候補に大きな差を付けられた。フィヨン氏は疑惑を否定しているが、フランスの司法当局もすでに調査を開始しており、道半ばにして自滅した格好となった。