仏大統領選の有力候補に浮上した39歳 マクロン前経済相とは何者か?
当選すれば仏史上最も若い大統領が誕生
1977年12月生まれのマクロン氏が当選した場合、フランス史上最も若い39歳の大統領が誕生することになる。これまでフランスで最も若い大統領は、4年しか続かなかった第2共和政時代(1848~1852年)における唯一の大統領であったナポレオン3世で、大統領に就任した際の年齢は40歳であった。 欧米各国をみても30代のリーダーは極めて珍しい。アンゲラ・メルケルはドイツ史上最年少で首相に就任したが、就任時の年齢は51歳であった。18世紀のイギリスでは30代の首相が4人も誕生し、1783年には24歳のウィリアム・ピットが首相に就任しているが、現代のイギリスで最も若くして首相に就任したのはEU離脱をめぐる国民投票後に辞任したキャメロン前首相であった(就任時44歳)。ちなみにアメリカで最も若い大統領といえばケネディやオバマといったイメージが強いが、実際には第26代大統領のセオドア・ルーズベルトが最も若く、就任時の年齢は42歳であった。アメリカでも30代の大統領はこれまでに誕生していない。 医師の家庭で生まれたマクロン氏は、パリ市内ある名門高校を卒業後、パリ第10大学(現在のパリ・ナンテール大学)に進学。大学では哲学を学び、その後エリート養成校(グランゼコール)の1つとして知られるパリ政治学院で修士を取得している。パリ政治学院はこれまでに4人のフランス大統領を輩出しており、ミッテランから現職のオランドまで、4代続けてフランス大統領の出身校となっている(ミッテランは中退)。マクロン氏が当選した場合、5人連続でパリ政治学院出身者がフランス大統領になる。 パリ政治学院での修士課程を終えたマクロン氏は、ストラスブールにあるフランス国立行政学院(ENA)でも学び、2004年から政府の会計検査官として働き始めたが、2008年にロスチャイルド系の銀行に転職し、投資部門で働き始めた。2006年から社会党の党員でもあったマクロン氏は、2012年からオランド大統領の側近として大統領府で頭角を現し、2014年に経済・産業・デジタル大臣に就任した。2016年4月に突然「前進」という政治運動の旗揚げを発表し、同年8月に大臣を辞任。11月に大統領選挙への出馬を正式に表明した。