これぞエース 磐城・沖がピンチでも、マウンド上で絶やさなかったもの 交流試合
2020年甲子園高校野球交流試合は第4日の15日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われ、国士舘(東京)が磐城(福島)に4―3で勝利した。 【写真で見る】磐城vs国士舘の接戦 最初で最後の甲子園で、磐城のエース・沖が本調子ではないながらも、昨秋の東京覇者と演じた接戦の立役者になった。 マウンド上で笑っていた。六回に1点を勝ち越されて、なおも2死三塁のピンチ。国士舘の7番・吉田を相手に「自分が暗い顔をしていたらダメだ」と沖。フルカウントからの9球目、捕手のサインにうなずくと135キロの直球で遊ゴロに仕留めた。 もともと最速140キロ超の直球とキレの良いスライダーが持ち味だが、右肘の不調を抱えていた。福島独自大会準々決勝では甲子園常連の聖光学院に2―4で敗退。この日も本来のキレのある直球は影を潜め、9安打を浴びて4点を失ったが、最後まで笑顔だけは絶やさなかった。「伝統校のエースナンバーを背負うからには自分が引っ張っていく」との覚悟から、苦しくても笑うのがエースの所作と考えているからだ。 ただ、試合後は悔しい表情ばかりを浮かべた。「(同点に追いついて)もらった点数を守り切れなかったのは自分の責任」と肩を落としたが、「最後までマウンドで投げさせてもらえるほど、みんなに守ってもらった。最高の仲間だった」。涙ぐみながらもチームメートへの感謝を口にした。【尾形有菜】