《米大統領暗殺の系譜》トランプだけではない、歴代大統領45人のうち3人に1人が暗殺事件を経験…過去の犯人から浮かび上がる共通項とは
暗殺未遂に遭った11人の大統領たち
暗殺「未遂」に目を向けると、歴代の11人の大統領が遭っています(計画だけの容疑は除く)。列記してみます。 (5)アンドリュー・ジャクソン(1835年) 議事堂内で精神的な問題を抱えた人物が銃撃を試みるも不発。 (6)セオドア・ルーズベルト(1912年) 退任後の再選活動中に精神的な問題を抱えた人物に銃撃を受けました。 (7)フランクリン・ルーズベルト(1933年) 就任直前に精神的な問題を抱えた人物が銃撃。本人は無事でしたが、同行していたシカゴ市長が死亡。 (8)ハリー・トルーマン(1950年) プエルトリコ独立運動過激派が襲撃。本人は無事でしたが警察官1人死亡。 (9)リチャード・ニクソン(1972年) 訪問先のカナダ・オタワで暗殺未遂。犯人は警備が厳しかったため発砲を諦めていますが、翌月、ライバルの大統領候補だったアラバマ州知事を銃撃し、重傷を負わせました。 大統領選を戦っていた双方を狙ったわけですが、動機は不明。ロバート・デ・ニーロの出世作「タクシー・ドライバー」はこの事件を一部参考にしています。 ニクソンについては、他にも自殺志願者が民間機でホワイトハウスに突入して殺害計画を立てたこともありました。この時は離陸できずに未遂に終わりましたが、男は機長と副操縦士を射殺して自殺しています(1974年)。 (10)ジェラルド・フォード(1975年) カルト集団「チャールズ・マンソン・グループ」の女性信者が実弾なき拳銃を向けたという事件がありました。同年、他にも別の女性にも銃撃されましたが、無事でした。 (11)ジミー・カーター(1975年) 街頭演説中に拳銃所持の男が逮捕されました。男は「メキシコ人スナイパーの陽動の為に雇われた」と謎の供述。意味不明で不起訴に。 (12)ロナルド・レーガン(1981年) ホテル前で銃撃され、重傷を負いました。同行していた報道官、シークレット・サービス1人、警察官1人も重傷。犯人は女優ジョディ・フォスターの狂信的なストーカーで、「彼女に相手にしてもらうためには大きなことをしないといけない」と思い込んで犯行に及びました。 (13)ジョージ・H・W・ブッシュ(1993年) クウェート訪問時に殺害しようとイラク情報機関が企てましたが、爆弾をイラクから持ち込もうとして露呈し、未遂に終わりました。 (14)ビル・クリントン(1994年) 自殺志願者が軽飛行機でホワイトハウスに突入。犯人死亡以外、被害はありませんでした。さらに同年、やはり自殺志願者がホワイトハウスに向かって銃を乱射。被害はありませんでした。 (15)ジョージ・W・ブッシュ(2001年) 精神的な問題を抱えた男がホワイトハウスに向かって銃を乱射しましたが、被害はありませんでした。また、訪問先のジョージア(旧ソ連)で演説中に地元の男に手榴弾を投げつけられましたが、不発でした。 以上のように、大統領暗殺を狙った犯行でも、明確に政治的な動機によるものは意外に少なく、個人的な妄想を動機とする単独暴発型の犯行がたいへん多いことがわかります。戦後のケースだけを見ても、それは同様です。
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