《米大統領暗殺の系譜》トランプだけではない、歴代大統領45人のうち3人に1人が暗殺事件を経験…過去の犯人から浮かび上がる共通項とは
7月13日(日本時間7月14日)朝に米ペンシルベニア州バトラーで起きたドナルド・トランプ前大統領銃撃事件は世界中に衝撃を与えた。しかし、アメリカでは過去にも大統領やその候補者らを狙った暗殺や未遂事件がたびたび起きている。アメリカ大統領を襲ったテロ事件史をジャーナリストの黒井文太郎氏が解説する。 自殺志願者に民間機でホワイトハウスに突入して殺害計画を立てられたこともある元大統領
米大統領暗殺を企てた犯人に多い共通項
7月13日(日本時間14日)、ペンシルベニア州の小さな町・バトラーでの集会で演説していたトランプ前大統領が銃撃され、軽傷を負いました。流れ弾で集会参加者1人が死亡、2人が重傷を負っています。 犯人は犯行直後に大統領警護担当の狙撃手(おそらく国土安全保障省シークレット・サービス隷下の対狙撃班CSの隊員)が射殺しました。同州のべセルパークに住むトーマス・マシュー・クルックスという20歳の白人男性と報道されています。 ベセルパークとバトラーはわずか60km、自動車で1時間程度しか離れていないので、ほぼ「地元在住の若者」の犯行になります。 本稿執筆時点で彼についてわかっているのは、共和党の有権者登録をしていることと、2021年にバイデン大統領が就任した時に民主党左派系団体に15ドルを寄付したことがあるということぐらいです。 犯人の動機や政治的信条については今後の情報待ちですが、ほぼ地元在住ということから、トランプ氏をつけ狙って外部から来たわけではないことや、少なくとも銃撃は単独で行われたこと、そして20歳という年齢などから、今のところは特に組織的な背景は浮上しておらず、単独暴発型の可能性が大きいという印象です。 じつは米国史を振り返ると、これまで大統領や大統領候補の暗殺・暗殺未遂では、必ずしも政治的な動機によるものばかりではなく、妄想を動機とするような単独犯行が少なくありません。 たとえば、米国ではこれまで計45人の大統領がいましたが、うち4人が暗殺されています。(1)エイブラハム・リンカーン(1865年) (2)ジェームズ・ガーフィールド(1881年) (3)ウイリアム・マッキンレー(1901年)、そして⓸ジョン・F・ケネディ(1963年)です。 リンカーン暗殺犯は南部独立派、ガーフィールド暗殺犯は精神的な問題を抱えた人物、マッキンレー暗殺犯はアナーキストでした。 周知のようにケネディ暗殺の真相はまだ謎で、真相がわかっていません。なお、ケネディの実弟のロバート・ケネディ元司法長官も1968年に民主党大統領候補だった時に、ロサンゼルスのホテルでパレスチナ系移民に射殺されています。
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