家具好きが最後に行き着くといわれる!? 北欧デザインの巨匠「ポール・ケアホルム展」の見どころ&グッズ紹介
デザインだけでなく、人生に思いを馳せる。展覧会の見どころを解説
今回の展示は、3つのパートに分かれています。 見どころ① 〈第1章〉ケアホルムの原点を知る 第1章では、ケアホルムの人生を知る構成。 まず、卒業制作の課題として生まれたPK0とPK25に注目。22歳にしてこの完成度は、ケアホルムの才能を余すところなく表現しています。 見どころ② 〈第2章〉時系列に並ぶ約30点の家具 第2章はモノトーンの世界のなかでの、約30点の椅子やテーブルの展示。 珍しい椅子も多々ありますが、なかでもケアホルムがギリギリまで構造に挑戦したPK12はスチールという素材だから可能なミニマルな美しさです。 見どころ③ 〈第3章〉空間のなかの名作の姿 第3章は、公共の場や住宅で愛され続けるケアホルムのデザインを見つめます。 住宅を表現したグリーンの空間には、20年間、実際に織田邸で使い続けられているダイニングテーブルPK54と椅子PK9が展示されています。 また、今回、復刻されたパーテーションPK111は、ケアホルム邸ではリビングとダイニングの仕切りとして使われていたもの。 シンプルな構造とバリエーションの豊かさを写真と共にじっくり見てみてください。 見どころ④ 実際に座れる!名作椅子に腰かけて、名画を眺める 最後のコーナーは、パナソニック汐留美術館が所蔵するジョルジュ・ルオーの絵画の常設展示室。実際に座ることのできるケアホルムの椅子が5脚置かれており、「名作椅子に座って名画を鑑賞する」体験ができます。 (グリーンの空間とルオーの展示室のみ、写真撮影も可能です) 見どころ⑤ 帰り路に仕掛けが。ケアホルムの言葉 今回の展示では、出入口が1つ。戻ってくるルートでは黒い台に書かれたケアホルムの言葉を見逃さずに。その精神性に触れることができます。
ポール・ケアホルム展が伝えること――
田根さんの心にも残る名言。織田さんはいいます。 「よいデザインは人に振る舞いを要求する」 よい家具を使うことは、自ずから丁寧に暮らすことにつながると。 ケアホルムの美は、ただ眺めるためのものではなく、椅子という実用品のなかで実現されているものです。そこには、「美しく豊かに暮らす」という普遍的なメッセージを感じ取ることができるでしょう。 デンマーク以外の美術館で、初の展覧会。ケアホルムに出会う、人生で最後の機会になるかもしれません。